うみだす仕事。。

クリスマスイブの前日『イチョウのある家』に、お約束のお品をもってお伺いしました。
製作を頼まれていた”スツール”です。
以前、製作をしたお仏壇用の椅子として、今年の春先に頼まれていたもの。
初の”スツール”製作にわくわくの設計者ですアンパンマン

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椅子は、家具のなかでも実に設計がむずかしいもの。
長期にわたって過酷に酷使される家具であり、また長時間体にフィットして触り心地や座り心地が要求されるから。こんな難条件を要求される家具は他にはありません。でもだからこそ設計者にとっては、至極わくわくな仕事なのです。

斬新なデザインの椅子というより、ハンス・J・ウェグナーのような、時代が変わっても誰もが愛してくれるようなデザインが私の目指す先・・、だけどそう簡単なことではありません・・アンパンマン 名品のYチェアを分解してその隠された工夫を見て、強度や座り心地に対しての緻密な心配りが感じられて、そしてさらっとあの誰もが心地いいと思うデザインにまとめあげている事にウェグナーのデザイン力を痛感する次第。
何かをデザインするって、単に線を引いて形を整えるだけの行為ではないのです。
観察力・洞察力・推察力・想像力・平衡力とかがすべてが合わさって、物が生まれる。
これは案外、時間と能力を必要とする事。
いつも思うのは、職人たちは手を動かしてこそ評価されるのだけど、私たち設計者の仕事って形(絵)を生み落とすまでが本当の仕事で、この実働でない時間にかかる労力ってなかなか評価されにくいものなのよね・・。

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そのうえ本当に納得いく物ができあがるのには、何台もの試作を繰り返し、ミリ単位での部材の寸法や曲線の検証が常に必要。
これはよっぽどのスポンサーがついてない限り、この労力に対する対価は金銭では要求できないこと。
でも設計者にとって、常にいろいろと製作を頼んでくださることは、とっても有難いこと。
こういった機会がない限り、設計に手をつける事はできないのだから。

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ウェグナーには足元にも及ばずだけど、気に入ってくださる物ができました手
今回を足掛かりにさらなる改良を加え完成度をあげていきたいスツールです。

そしてここ『イチョウのある家』の建て主さんは事あるごとに、お家に合わせて家具を注文くださります。
「いつもどんな物ができあがるのか楽しみなの。今度は何を頼もうかしら。」と言って心待ちにして下さっていることが、設計者を奮い立たせます。しかもこちらのお施主様って、ホントとっても褒め上手なのですキラキラ
職人や設計者は、やる気を倍増させられるのです♪
こういった施主さんが職人や設計者を育てるんだなあ〜といつも思います。

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こちらが今春製作したお仏壇です。
「これから先、娘や息子にお仏壇を引き継ぐ事になったときに、重厚で場所を必要とするお仏壇はこれからの時代は負担になるから、今時のリビングの片隅に置いても似合う小さなお仏壇をつくっておきたい。」
新しいお仏壇のカタチ。。
常に想像力を使いながら新たな発想が要求されるのが私たちの仕事。



もちろん、期待に応えるものを生み出さないと、誰からも相手にされなくなるのが設計の仕事でもあります・・笑
こうやっていつも期待をかけて頼んでくださる事で、力がつきます。
私たちの仕事は、機会が与えられて初めて伸びていくようなもの。
それは今まで携わった多くの建て主さんたちから、私が感じてきた事です。
著名な建築家たちの多くも、スポンサーがしっかりと付いていたそうだから・・、やっぱり大きく羽ばたかせてくれる機会が彼らを大きく成長させたのは間違いないと言えます。
私はこういった楽しいお仕事をいただけて幸せ者な設計者かもしれません。


雲のような波のような透かしは、お施主様のご先祖様が海に関わるお仕事に携わってこられたのが起源だというので、波をイメージさせていただきました。現代風のお仏壇だけど、透かし彫りや細部の納まりには伝統的な技法も取り入れつつ製作しました。若い世代が昔ながらの技法を身近に感じてくれるように。。


今後は家具や小道具、キッチン台ひとつからでも、その人にフィットした物を提案していくような体制をつくりたいな、、と考えています。
家を建てる事は「ムズカシイ・・」と考える人でも、木だったり竹だったり和紙だったり鉄など味わいや風合いのある物を置いていただきたい。そして職人たちが丹精こめ丁寧につくられ物や、日本の伝統的な技術をつかった物など、いつもの暮らしにそういった道具たちを手軽に傍に置けれるように・・。暮らしの身の回りに使い捨ての物達が溢れる今の時代、こんなことから豊かさって変わってくるような気がしていますハート
これも私にとっては一歩、挑戦でもあり、楽しみにもなりそうな予感手
もちろん、いろいろな職人さんたちと連携しつつ物づくりを進めていきたいと思っています〜!
応援ください〜ハート
 

こんな暑い時期に・・?

 遅ればせながら我が家の必須アイテム、薪ストーブの大掃除をおこないました。
わざわざ、こんな暑い時にしなくても・・と言う声が聞こえてきそう
そう、良い子の皆さんはぜひ梅雨入り前には掃除をしてくださいね。
そのほうがストーブの大敵である湿気を招かないですから

さてさて、ついつい後回しになってしまったストーブの掃除。もちろんこの時期の日中の瓦の温度は50度をこえます。これでは足の裏が火傷してしまいますので、曇り空で涼しい日に決行しました
まずは煙突のすす掃除。

我が家は平屋部分に煙突がついているので、二階の寝室より簡単に屋根に出ることができます。
煙突のメンテナンスのためには、平屋部分に煙突があるほうがとっても便利ですね〜。
まあ、そう思いながらも・・実際の設計では、動線や間取りの関係から、なかなか難しかったりします。(でも可能であればそう出来ると便利ですよ。)
煙突のトップは、工具無しで簡単に外すことが出来ます。

わっ!いっぱい煤がついていますね
我が家は、杉材やヒノキ材をよく燃やすのでね。しかも中にはあまり乾燥されていない材もありますから、この通り。怯えることなかれ。ちゃんと掃除すれば問題ないです

先がタワシのようになったワイヤブラシを煙突に差し込み、ゴシゴシ上下にこするようにしながら連結ワイヤで下ろしていきます。連結ワイヤは1mごと連結できるようになっており、つないで下ろしていきます。そんなに難しくない力のいらない、女性の私でも簡単にできる作業です

 

足場が悪いので、足元だけ注意しながらの作業です。
ワイヤブラシが下まで到達すれば終了。ワイヤを引き上げて、トップに溜まった煤を庭先で落として完了です
ここまでの作業10分から15分程度です。屋根の上の作業はこれで終了。

次に、ストーブ本体の掃除です。
さっき落とした煤が、ストーブの燃焼室にゴッサリ落ちてきています。これは後でストーブに火をいれて燃やせば結構です。その前に、ブラシが届かなかった煙突の付け根に煤が残っているので、ここを掃除。
我が家のピキャンは燃焼室から手をいれて煙突の付け根のところを直接手で掃除できます。
実は煙突を外すのが面倒なので、直に手でこそぎ採る作戦です。まあ、この方が室内に煤がもれるおそれがなく済みます。この手のストーブタイプはシンプルなつくりなので、二次燃焼のための装置がついていない分、それが容易にできるのです。手は汚れますけど

そこが終了すると今度は、クックストーブならではのオーブンにつながった煙道を掃除します。この手のストーブは、オーブンに熱気を伝えるために壁内が二重構造となっていて、煙突同様にそこにも煤がたまるのです。シーズン中は、オーブン内の底蓋をあけて、簡単に煤を取り出せるつくりになっていますが、今回は大掃除なのでこの二重構造の煙道も掃除します。

ここはちょっと面倒で、二重構造の煙道の入り口や出口から小さなワイヤブラシを差し込んで、ゴシゴシします。手ごろなブラシがなく、今はホームセンターで売っていた配管用のブラシで掃除しています。

わっ、こちらもごっそり出てきました
ここが詰まると、オーブンの温度が上がらなくなります。
写真は、二重構造の煙道を掃除する前の、底に溜まっていた煤。
二重構造の煙道を掃除すると、新聞紙の上に載りきらないぐらいの煤の量になってしまいました
でも、煤が落ちて綺麗になったと思うと、気持ちがいいもんです
これらの煤は、すべて燃焼室にいれておきます。

次に、天板や扉や正面など錆付いた部分を少し水をつけて金タワシでゴシゴシとこすります。錆は案外、これで簡単にとれます。錆が嫌で塗装したりも出来るみたいですが、黒い塗装をしなおすと、そこだけが質感が異なった感じになって逆に違和感が出て、私は汚く見えます。
この金タワシだけでの掃除ですませて、適度な使用感のなかに使い古されていく美しさのような感じが薪ストーブにはお似合いです

ねっ、いい感じでしょ。これでほぼ終了。あとは燃焼室に放りこんだ煤を燃やします。

同時に、さっき水で濡らして掃除した水分もしっかりと蒸発させます。
煤が燃え尽き、一日経ってから、燃焼室内部の灰を捨てます。
そして扉のガラスを掃除してシーズンオフの大掃除はこれで終了です。。
これでシーズンを待つのみ
今から冬が楽しみ!

どうです?面倒?たいへん??
そんなことを言っている方は、薪ストーブライフは不向きかもしれませんよ〜
ちなみに専門の方に掃除を依頼すると、2万5千円ぐらいだそうです。

ロケットストーブづくり。。

 忙しくてなかなか日記が書けずにいます。
この頃は、時間を凝縮したかのように内容の濃い日々。。
それにしても時が経つのに体がついていけれません。
噂では時間が加速しているとか・・。

さてさてそんななか先日の日曜日はロケットストーブづくりを体験してきました
内子の余田さん夫婦の主催でおこなわれたロケットストーブづくり。
今、ひそかにロケットストーブが流行りつつあるとか。
ロケットストーブは普通のストーブと違って、その構造において気流を生み出して、薪を完全燃焼させるらしい。だから煙も煤もあまり出ないという噂らしいんだが・・ホントかな〜。
それに長い煙道を土で埋めてしまってベンチにしてしまい、蓄熱させて暖かベンチにしたりも出来るらしい〜!土の可能性と、熱の利用という意味では、楽しそう〜
今回はペール缶を使って簡単にロケットストーブを作ってしまおうということで、気になる私達も行ってみました〜。

主な使用材料はこれだけ。
ペール缶は、燃料屋さんに譲っていただきました
灯油缶を使っている方もいましたよ。

製作時間は、慣れたら1時間で出来る工程。
ペール缶を切ったりしながら製作。女性にも出来る作業でした。
今回私達は、キッチンストーブとストーブ兼用のロケットストーブをつくる事にしました。
キッチンストーブの方が簡単でした。兼用という事で、ほんの少し手間がかかります。

出来はまあまあ良く出来ましたよ
少し隙間があいたけど・・(苦笑)。そこはアルミホイルを詰め込んで。
さっそく翌日に試運転です

焚き口には薪がタテに入ります。これが特徴。
こうすると薪が燃えながら自然と落下していきます。
ロケットストーブの特徴でもあるように、すごい勢いで空気が吸い込まれていきます。
だからタテに差した薪に火が登ってくることもありません。

これがキッチンストーブバージョンです↑
五徳部分が煙突となっており、さきほどの勢いのある上昇気流にのって炎(熱)が鉄瓶を温めます。
ゴウゴウという炎の音!
ものの数分でお湯が沸きました〜。
キッチンストーブとして使うには優秀です!かなり。
しかも煙はほとんど出ません。大成功〜

さてさて次は、ストーブバージョン↓

違いが分かりますか?
そうです。先ほどの五徳部分には蓋がされて、後ろに煙突が抜けました。
これによってペール缶本体が煙道となって熱が発せられる仕組み。

タネをあかせば、こういう仕組みです。

内部は二重構造になっており、キッチンストーブの時は、真ん中の煙突部分からの熱を直に利用して、ストーブの時は一番外側に熱を回して、後ろの煙突から熱を排出する仕組みです。
んん、ストーブだと先ほどより少し気流が弱い気もしますが(煙突を高くすれば解消するかも)、放熱されて暖かい〜!
でも煙は少し出るみたい・・。完全燃焼まではしていないみたいです。改良の余地ありかな・・。

でもシンプルにストーブが作れちゃうというだけで感動ものですね
実は、ここに最大のロケットストーブの楽しみがあるみたいです。
実際に、いろんな人がロケットストーブを自分なりに改良してオリジナルのロケットストーブを作っているみたいです。より効率的な燃焼をめざして、それぞれが工夫する。それが楽しみなのです。
今回はシンプルで簡単なペール缶ロケットストーブだったけど、本物のロケットストーブは、先に書いたように熱を蓄熱させたりして、熱の有効利用をはかるものもあったりしてかなり奧が深いみたい。
みんな試行錯誤のようだけど、そこがはまっていくツボなのです!

本格的なロケットストーブを作ってみたくなるのもなんだか分かりますね〜。
土でつくるロケットストーブというのも楽しそう。
左官仕事で出来ちゃいますから。
薪ストーブ代でお釣りがくるかも・・。
土間にロケットストーブ、どこかでやってみたいものですね〜

我が家の三者三様。。

この時期に活躍しているのが、我が家の火鉢たち。。
薪ストーブがメインの暖房ではあるけれど部屋のところどころで、暖を補ってくれています。三者三様で、ひとつは陶器もの、ひとつは角火鉢、ひとつは切り株をくり抜いた物。それぞれに趣もあって、長所も短所もあります。

 

陶器のものは一番のお気に入り。
淡い釉薬で描いた桜の彫りこみ絵柄が、とっても上品で素敵です。陶器ものは、火鉢に火をいれると、手を触れられないぐらいに陶器が熱くなります。火傷まではいかないけれど触ると熱いので用心が必要。でもこの熱いのが陶器の魅力であり、冷たい足先(靴下ごしに)を火鉢の縁に乗せると、足が暖まります!

角火鉢は繊細なホゾや組み物によって製作された一品。指物職人のしごとです。線の細い華奢なつくり、角は全て坊主面に仕立てられ、取り手も主張しすぎず、材の欅の美しさを引き立てるように意図された繊細で柔らかく品の良さを感じさせる納まりとなっています。角火鉢も個性いろいろです。ゴツゴツした骨太の粗野な物から、装飾的なものまで。そこに指物職人たちの個性があらわれています。こちら角火鉢は小さいから持ち運びがしやすいのが一番利点。ただ小さいからあまりたくさん炭を燃やすと、縁の木が傷んでしまいます。

最後は、欅の切り株の火鉢。実はこちらは建て主さんより頂いた一品。代々木地師の家柄の建て主さん、家を壊すことになり、そこにあった火鉢を頂きました。
木地師だったお爺ちゃんが製作されたみたい。
大きな切り株の火鉢は、ちょっとしたカフェテーブルがわりに使えます。私はこの上で花を飾ったりとディスプレイ用の飾り台として使ったりもします。
炭をいれると、それだけで雰囲気のある火鉢となります。難点は、重たすぎるので簡単には移動ができません。

その他に我が家のは、あと二つ、長火鉢があります。小さな小抽斗つきの火鉢で、七宝焼きの引き手がついています。こちらも指物職人の品の良さが感じられる一品で、陶器の火鉢と並んで私のお気に入りです。。

今の住まいに引っ越ししてくるまで、借家のため薪ストーブが設置できなかった為に、こんなにも火鉢が増えてしまいました。我が家の徳さんが石油ストーブでは、気分が悪くなるのもあって、火鉢暮らしだったのです。この時は、火鉢でダッチオーブン料理などもしたりと、かなりフル稼動して使ってましたっけ。今おもうと、ちょっとスゴイ..。

個性いろいろの火鉢に囲まれて、火のある暮らし。
心惹かれる炭火の灯り、薫り、穏やかな空気。
なんとも言えないほど私は好きですね。。

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