『イチョウのある家』

 

11年前に手がけた『イチョウのある家』。

『心地よい家』の現場と目と鼻の先で、いつも家の前を通って現場に通っています。

仕事も退いて家でゆっくりすることが多くなったので、遊びに寄ってねと誘われていて

今日はお言葉に甘えて。。

庭木もずいぶんと成長し、家も深い味わいとともに渋みが感じられるようになった『イチョウの家』。自分が手がけて言うのも恥ずかしいのだけど、本当にいい住まい。

「仕事も落ち着いたから、これからは家を繕うことを楽しみたいの。」っと、つくづく我が家を愛してくださっているお言葉に、ジンとなりました。家の所々、手を加えたいところや繕いたいところを見てまわり、すこしアドバイスしました。

それにしても、いつもお会いする度に「この家を建てておいて本当に良かったと思うわ。」と、作り手にとっては嬉しくなる言葉をくださる施主さまです。そう言えば、いつ何時も心優しい言葉をたくさんかけてくださった施主さまでもありました。

これから本格的に動き出す『心地よい家』の現場近く、こうやって時折『イチョウのある家』の施主さまにもお会いすることができそうで、現場通いの楽しみがひとつ増えました。

 

 

自然の猛威に備えて。。

暑さにかまけてブログを怠り中(汗)・・です。

先の豪雨被害によって、まだまだ各所ではこの猛暑のなか復旧作業が続いているようです。

主要な公道はほぼ改善されたものの、個人宅レベルや小さな集落ではまだまだ十分に手が行き渡ってないところも多いと聞きます。

またそのわりに・・知り合いの業者さんのなかには重機を使って土砂排出のボランティアを申し出るにも、支援のためのマネージメントが出来ていないために断られ行き場がないという状況も出ているようです。

 

私のほうも今回の被害で何軒かお宅を拝見させて頂きました。

浸水被害に対してどのように処理すれば良いのかといった相談内容でしたが、見させて頂いたお宅はどれも床下浸水で、基礎までの浸水で、土台などの木材が塗れずに済んでいたので、まだ処置が簡単なほうではありました。

それでも床下を覗くと、通気口もあまりなく床下は真っ暗で空気が澱み、乾燥のための通気が十分でないため床下を乾燥できないという状況のお宅がありました。この暑さですので、当然このままだと長引く湿気によって、床下木材や床の合板類に湿気が行き渡りカビや腐朽菌の繁殖が考えられます。

ひとまず十分な通気が出来てないので、早急な乾燥のため畳下の下地板は全て取り外し、扇風機などで強制的に風を動かすことを指示しましたが、フローリングの下の隠蔽された空間はそう簡単にはいきません・・。断熱材まで水が浸かっている場合はさらに対処の難易度があがります・・。ここが現代の住宅の大きな問題点でもあると、こういった状況下に置かれると良く見えてきます。

 

 

昔の家は、高い床下で床下に風が抜けることを旨としています。通常時も床下の木材を常に健全に保つための造りですが、こういった自然災害時には先人たちの知恵の深さをさらに思い知らされます。

昔ながらの家は、水で落ちた土壁さえも、塗りなおせば容易に修復できます。柱や梁が露出した現しの構造であるからこそと言えます。断熱材が入り柱や梁が隠れた現代の家の造りは、こういった災害時には建築に携わる者として本当に悩ましい造りだと感じます。高断熱化や高気密化された家や、合板類で造られた2×4のような輸入住宅は、その現状に「自然災害だから・・」と現実に蓋をするしかない面があるというのをその道に携わっている者として感じるからです。

 

しかし柱や梁が現しになった昔ながらの家は、柱や梁や建具を水洗いし、土を塗り直し、畳を入れ替えれば、頭を抱えて悩むようなこともなく、元の住まいに戻ります。床下は当然、礎石に柱が建つ造りなので土砂を排出したり洗い流したり乾燥するに容易で、幾度もこのような自然災害を経験し、修復修繕しやすいこと至極考えられた造りだと感じることが出来ます。

建築に携わる者として「自然災害だから」と言ってしまえばそれで許されてしまうのだろうけど、やはりそういった事も視野において備えのある住まいを今後も考えていきたいと、被害相談にのりつつ感じました。

 

今回の被害の有無には関係なく、床下に風が抜けないというのは家の耐久性のためにも良くない状況なので、浸水被害を機に、今後の家のことまでを考え、床下の乾燥方法と通気確保の仕方を提案し帰ってきた次第です。

 

こだわりのイ草をもとめて土佐へ。。

 

畳表をもとめて高知へ行ってきました。

っと言っても、私が探しもとめている貴重品種を育てるイ草農家さんは全国でもほんの僅かです。まさか愛媛と高知というこんな近くにいるなんてとは思いませんでした。

 

実はずっと畳屋さんを通して、耐久性に富む貴重品種である『せとなみ』を栽培する農家さんを探していた私たち。

もうそんな品種のイ草を栽培しているところなんて貴重な存在なのです。

この頃の畳表は出来た時が一番綺麗で、しかし昔のように使い込みに耐えて使えば使うほどに黄金色に艶が出て美しくなるような畳表を、入手することが難しいのが現状です。

「えっ!使えば使うほどに美しい黄金色に変わって艶が出て擦り切れや磨耗に強い畳なんてあるの??」っと言う声が消費者から聞かれそうですが・・、この声自体が畳の評価が下がりきってしまったことを物語ります。

 

 

実は畳屋さんの多くは、出来た時の見栄えの良さを一番に気にされます。ほんの少しの色妬けや褪せなど均一性に欠くような表は評価が低く、如何に全体的に均一な青さ美しさであるかが最優先だと考えている、それが今の畳業界です。

(う〜ん・・これは畳だけでなく建築業界全体の業種に言えることでしょ・・)

イ草の見た目の綺麗さ追求するために灯芯が十分に詰まりきらない若い時期で青々したイ草を刈り取り、また見た目の良さや栽培のしやすさをもとめて繰り返される品種改良は、そこにあった畳表として無くして欲しくない中身を二の次としてきたと言えます。

でも畳が出来た時が一番美しい・・・・実のところ私たち消費者が本当にもとめる畳表とは、それはちょっと異なる方向性だと感じるところです。出来たときに綺麗だというのは有難いことではありますが、優先順位としてはやはり使ってなんぼの世界です。使い始めたら、どんどん磨耗して摺れて、色合いも青かった時点が一番美しいかったのでは・・そもそも話になりません。畳なんてこんなモンか・・やっぱりフローリングのほうが良かったとなります。たまにしか使わない部屋が畳なら綺麗だけで良いのかもしれませんが、広めていきたいのは畳を主居室として使う畳のある座の暮らし。そのためには昔のように使用に耐えるしっかりと長持ちする畳でないといけません。

昔はもっと使い込みに耐えて使えば使うほどに黄金色に艶が出てその表皮に、畳の心地よさや美しさ良さがありました。

 

 

今回訪れたイ草農家さんの野村和仁さんは、頑なに昔ながらにあった畳表の良さを守ろうと努力されている方であり、お会いしてその生き様や物の考え方など共鳴するものを感じました。

貴重品種である『せとなみ』を使った白系の表は、今の見た目重視の畳業界での評価は小さく、あまり栽培してもお金にならない。よって多くの農家さんは「畳表としての昔ながらの白系品種」ではなく「売れる新種」に乗り換えてきたそうです。

なら?どうしてお金にはなりにくい品種を栽培しているのかと言うと、そこには今の時代のお金では評価されない良い物、失ってはいけない物があるからだと言う想いが野村さんにあるからです。売れるための青さではなく、灯芯が詰まって表皮が厚く硬くなるまで収穫を遅らせることで高まる耐久性。それは見た目の綺麗さで売れるものを作るのではなく、畳表として長く丈夫にもつ昔本来の良さを受け継いだ物を作るという姿勢があります。

なんだか私のやっている伝統構法の家づくりと同じだと感じましたアンパンマン

野村和仁さんが栽培するイ草は在来種の遺伝子を多く残す昔からの品種『岡山3号、せとなみ』で栽培されているため表皮が厚くて硬く、灯芯が詰まっていて、全国で生産されている畳表の中でも他の追随を許さない耐久性を誇るイ草です。

 

 

「お客さんを裏切れない、お客さんに満足してもらいたい」という想いから、頑なに栽培をつづけているのが野村和仁さんの『岡山3号、せとなみ』での『土佐表』。卸店やセリという既成の流通に疑問を抱き、何とか流通に頼らない販売をしていきたいという想いから自ら営業販売をしていますが、その販売方法にも共感したところです。

いくつもの卸店を経由していく建築業界全体の流通システムには、私自身もずっと疑問を感じてきたところです。

生産者や作り手の想いやこだわりが現状の既成の流通システムでは届かない上に、本来作り手に届くべきお金がちゃんと落ちてこないという問題があります。野村さんは「やっぱり折角農家の想いで商品を作って流通に乗せても、消費者に届く間にその想いは打ち消されてしまって、いつの間にか流通業界の思いの商品に変えられてしまう現実がある。卸屋に、農家の代弁者となって農家の想いや商品の本当の魅力を伝えて欲しいと言っても、逆に自分たちにとって売りやすいもの(見た目の良いもの)を作ってくれと言われる。そんなところにやっぱりこう腹立たしさというかやりきれないものがある。」と語られていました。

 

私たち自身、備後手織り中継表が作られている値段と売られている値段との差に驚愕し、良い物もこれでは欲しい人には手が届かなくなり、貴重な技術も無くなっていくのをただ待つしかないと感じたのも、今の既成の流通システムに問題を感じたから。野村さんのお話はまさに良い物づくりをしようとする作り手が抱える叫び声でもありました

 

 

『岡山3号、せとなみ』のイ草をつかった畳表は、高知県でも野村和仁さんの畳表のみ。

表にはその名前が印字されています。『せとなみ』もいいけど、昔ながらの在来種である『岡山3号』はとても魅力的!

私たちも『土間と風の家』に使う畳表を購入してきましたハート

せとなみ一番草を使った麻麻ダブルでのランク。一番良いランクの畳表で、なかなか安さ優先で売れない表だそうですけど・・、長く使っていくに相応しい畳表にたかが1枚2000円ほどの増額を消費者は出せないわけではありません。

大切なのは、長く畳の心地よさを知って味わってもらう事、そんな本物の畳を提供していくことこそ、

畳の文化を守っていくことになりますからね手

この表が『土間と風の家』に使われて、そして時とともに黄金色に変化し艶が増していく姿、そういった光景を心待ちにできるのも畳がある楽しみの一つかと思います。

 

野村和仁さんの畳表を購入したい方は!

まずは土佐観光styleにお問い合わせください。

そしてまずはこのページをチェックハート

↓↓

https://www.tosa-k-style.org/tosaigusa-real

 

家づくり塾でも、この畳表を知る機会をぜひつくりたいものです。。

高知ツアーか〜車

 

 

 

 

 

自然と生きる伝統構法。。

今日は動画、いえ大工さんの紹介手

 

伝統構法を手がける深田さん。

設計から大工まで、美しい物づくりをされている大工さん。

私が家を建てるんだったら設計してもらいたい大工さん!

・・?と言っていいかも(笑)。

美しい物づくりって、その人の生き方が現れるなあってつくづく思います。

肩に力が入ってないっ!

私も大工になりたいと、この方を見ていつも思います。。

 

Youtube動画↓自然と生きる~伝統構法~ 深田真

http://youtu.be/SbgEWq9-83M

『わ・ふ邸リフォーム工事』作り手・住まい手の悦び。

 

 

『わ・ふ邸リフォーム工事』の裏方をお見せします。。

完成内覧会の前日、

お施主様から携わって頂いた職人さん方々を集めて、慰労会をしましょうとお話をいただきました。

リフォームという短期間ではあったけれど、この間は新築に負けないぐらい密度の濃い楽しい時間を過ごさせて頂いた現場です。

とくに、わ様・ふ様の心温まる持てなしに職人一同が、気持ち良く仕事をさせていただいた事。

正直いまの建築業界ではなくなりかけている、作り手と住まい手の温かいつながり、そしてその上に成り立っていた物づくりの有り様を感じずにはいられませんでした。

 

 

心温まる料理、施主さんの朗らかで温かい人柄、そしてそれぞれに職人さんたちも心思う事があったのではないかと思います。

例えたくさん山ほどお金を積まれても、つまらない心寂しい現場や仕事があります。いつも目を尖らせて手抜きや欠陥がないかと見張られるように仕事をしなければいけないとか。職人たちは一つのコマとして扱われ、その携わる家に住む建主さんの顔すら知らない・・まして言葉を交わし合う光景なんて・・。ひょっとしたら今の時代はそういった現場のほうが多いかもしれません。

「お接待不要ですよ」と言う建前のもと無くなってしまいつつある職人さんと施主さんとの関わり合い、それが今や当たり前の時代です。

 

 

そして、わ・ふ邸。内

覧会の前日、こんな温かい光景が繰り広げられていたなんて、誰が想像しましょうか?笑

施主・職人・設計者の壁を取り払うのは、施主さま自身なのだといつも感じます。

今回は施主直営・分離発注という建築方式で工事がおこなわれた、わ・ふ邸リフォーム工事です。

この方式の良さは、施主様が高台に登らず、一緒になって物づくりを完成していくというチーム感にあります。

時折、施主直営というと、施主が一番エライというような構図をイメージされる方もおられるようですが、それは大きな勘違いで、施主さまもチームの一員となって動いていく、というのが野の草のスタイルです。互いに信頼をしあって進めていかなければチームとしては成り立ちません。

わ・ふ邸のお施主様は、お手本にしたいようなお施主様でもありました。

 

 

いつも気にかけて現場の様子をのぞいて下さる、”ふ様”のお父さん・お母さん。

気さくで優しいお父さん・お母さん。足りないことがないか、手伝う事はないかと、いつも細かな事に気がついてくれ現場を助けてくれました。

 

 

 

時にはこのように重たい物を、野の草スタッフや職人、施主様といった皆で一緒に運ぶ光景がみられました。

 

 

掃除や片付けなども自由参加で積極的に加わっていただきました。

ひとつひとつ自分たちも関わり合いながらというお施主様の姿勢は、職人さんたちの心に何よりも響きますキラキラ

高みの見物ではこういったチーム感はありませんね。

 

 

 

いつも休憩時は、珈琲やオヤツのお振る舞いを欠くことなく手をかけていただきました。

そういった休憩時には、施主さんと職人さんとの談笑風景が絶えなかった現場です。

 

 

お酒でも出てきて宴会でも始まりそうな雰囲気の休憩時笑

 

 

また職人と職人同士が、新たな物づくりを前に刺激をもらい合っていた様子。

お互いを高め合うことが出来るような現場であり仕事であるといいなあと思います。

 

 

ときには職人たち一同がお昼をご馳走に、なんて一コマ。何度かありましたねアンパンマン

”とみすや”の出前のおうどん、美味しかったです♪

 

 

本当に美味しいものをたくさんご馳走になり、いただき物もたくさん下さって、ほんとイタレリツクセリ汗

そういったお施主様のきめ細やかなお気持ちが何よりも感じた現場であり、嬉しかった私達ですアンパンマン

 

 

また、一緒にフードの製作現場に見学に行った時の様子。

 

 

どんな現場で職人たちがどうやって物を形づくっていくか、ぜひ知ってほしく、機会があれば案内をしています。

ひとつひとつの物づくりに物語があり過程があり、出来上がっていきます。それが手づくりの良さです。

また直営の楽しさでもあるかもしれません。

 

 

最後これで工事も終わりといった慰労会挨拶のとき、言葉詰まらせて涙するお施主様でした。

それだけ職人さんたちと一緒になって、このリフォームに深く関わっていただいたという事ですね。

ありがとうございますハート

 

職人誰もが「心地いい現場」という、その現場は施主さまあってこその事。

 

今回は鉄を新たに取り入れ挑戦できた現場でした。

こうやって新しい事に挑戦できたのは、それを求めてくださり、大らかに見守ってくださる大きな懐がある施主様だからこそ。

新しい事とは、常に目に見えない先にあり、大げさに言えば「出来上がってみないと分からない」という不確定な上にあります。そういった目に見えない挑戦を受け入れて求めてくださるという懐があって、私たち職人は常に挑戦していけれます。

 

 

笑顔の絶えない楽しかった現場の思い出の数々を、ちょっとご紹介しました。

わ様・ふ様、どうもありがとうございましたハート

 

 

 

『わ・ふ邸リフォーム工事』完成お披露目会。。

 

先の日曜日に『わ・ふ邸リフォーム工事』の完成お披露目会を開きました。

リフォーム工事なので来訪者は少なし、のんびりいこうか、っと流暢に構えていましたが、思いもよらぬほど大勢の方々に来ていただき、ほんとうにありがとうございましたハート

現在進行中の施主さんや建て主OBさん、見学会初期からずっと来て頂いている常連さん、遠い以前に来て頂いた懐かしいお方、そして地元の方々。嬉しいたくさんのご来訪ハート

しかし野の草のペースで言うと、ゆっくり深く語り合いたいところ。

ひとつひとつ職人さんたちの知恵と技術が詰まったお仕事。

お一人お一人に充分なご説明ができなかったかもしれません。

そう思うと見学会をはじめた頃のゆったりとした見学会がとても懐かしく思えてきます笑

 

 

さて今回の『わ・ふ邸』の完成お披露目会では終始、お施主様のわ様やふ様が、来られた方々に一杯一杯珈琲をいれてくださり、とても温かいお披露目会になりました。

施主様と二人三脚のような見学会、野の草としては甘えっぱなしの理想的なスタイルハート

私が語るより、お施主様ご自身の言葉のほうが身近なものとして、また施主先輩の言葉として為になったのではないかと思います。

 

 

お昼の頃合いには、わ様・ふ様の手づくりのお弁当が用意され、なんとも至れり尽くせりの見学会ですアンパンマン

この現場はいつも、わ様・ふ様の気遣い心遣いが感じられる現場でしたが、見学会にいたるまで。

 

さて、すこしばかり来れなかった方に完成お披露目いたします。。

今回の見所は初の鉄とのコラボ。以前にも書いたように、金属という一見すると取っ付きにくい素材を、昔ながらの家づくりにどのような形で活かしていくか試みでもありました。

 

 

こちらわかりますか?

銅の換気扇フードにダイニングの鉄のペンダント、その他、タオル掛けや取っ手など、予想以上の馴染み用でまったく違和感を感じさせず、かつうまく空間を引き締める役割をしてくれたように思います。

 

 

手で叩き上げて造形をつくっていくからこそ生まれる柔らかさがそこにあり、またそれを取り囲む全ても同じく手から一品一品生み出されたものだから、すっと馴染むのですね。

既製品に、この空気感は出せませんね。

 

 

そしていつも使っている私の大好きな土壁との相性が抜群手

鉄の職人でもある山田さんからも、すべてを受け入れるこの奥深い壁があってこそ鉄も生かされている、と。

優しい柔らかい母なる大地の土。

住まいには無くてはならないと・・、他の職人たちが同様に語っていたのがとても印象的でした。

動物的に安堵するような深い居心地の良さが、住まいにはもっとも求められるものだと私は思います。そのために欠くことが出来ないのが土なのです。。

 

そして使い易く勝手よく、というのがさらにその住まいの質となっていきます。

 

 

細かな細部を職人さんと打ち合わせをし、ひとつひとつ積み上げていきます。

キッチンの流し一つだって。。ほんの些細なこと、きっと住まわれる方は気づかないであろう事を、職人さんたちと話し合い詰めていくのです。それが良い物づくりを生む秘訣。。

 

 

そうやってみんなの力の結集にてこそ出来上がるのが、心地いい住まいなのです。

大工が一番とか、そういった事でなく、昔ながらの家づくりのベースは”和”です。

昔ながらの家づくりでは全てが支え合って家が出来上がるという『総持ち』という言葉があるように、みんなの力の結集でこそ良い家となっていく『総和』だと思います。。

左官も、畳屋も、表具師も、建具屋も、電気も水道も、そして大工も。その他の裏方に道具をつくる職人や紙漉き、山を支える職人など数え切れないぐらい。みんな同じぐらい大事な役目があり、和の家には無くてはならない存在。この誰かが欠ければ和の家は出来なくなってしまう・・。

そして何より施主様がその和の中心であること忘れてはいけませんね。

 

今回のわ・ふ邸のこのモダンな住まいも、れっきとした和の家です手

昔ながらの技術や伝統を活かし人を活かし素材を活かした、和の家。。

昔ながらの技術をいかせば、形やデザインはいかようにもなります。

昔風でも今風にでも。

ようは形ではないのです、和の家は。。

 

 

今回の棟梁を務めた、高田工房の高田さん。

和の家をめざす若手大工です。

みんなが心地よくないとイカン!

そのモットー素敵です。

きっとみんなが心地よく仕事ができた家は、本当に良い家、嘘のない家だと思います。

 

 

和の家の良さが

すこしでも伝わると嬉しいですハート

 

 

『わ・ふ邸リフォーム工事』完成お披露目会。。

 

いつもAA STUDIOそして新たに生まれ変わった野の草 設計室を

応援してくださっている皆さま、ありがとうございます
未だかつてリフォームの見学会など聞いたことがありませんが、
この度、お施主さまのご好意で、完成お披露目となりました。
いつもの新築の昔ながらの家づくりとは異なりますが、昔ながらの素材や技術・知恵を活かしたリフォームとなります。リフォームであっても、先人たちの遺したものを活かせば、無限大に広がる可能性を感じることができるのではないでしょうか。
大切なものは、この土地で長い歴史のもとで往く世代にも渡って培ってきたものを、
私たちは日本人として愛し大切にしていくことではないかと考えます。
先人たちの遺したものの素晴らしさが、ここにあるからです。
ぜひ感じてみてください。
そこには決して古臭さ、時代遅れといった言葉は存在しません。
現代に通用する・・いえ、

それ以上の心温まるものがある事を感じるかと確信を致しております。

 

また当日は野の草がオススメする手仕事の品なども販売致しております。

キッチン台や家具・小物ひとつからご提案をさせていただいている野の草でおります。

ぜひお待ちしております。

日時:10月23日 日曜日  10:00〜17:00
場所:大洲市東大洲
※詳しい場所については、参加申し込み後にご案内をさしあげます。
メール:  asuka-archi@nifty.com
電話:090ー4781ー6192

リフォームと言えども土は無くてはならないもの

『わ・ふ邸リフォーム』その後も楽しませていただいてます

楽しい仕事にしていけれるか、それは自分次第かなと思います。

パタパタとボードや合板を張ってしまえば、仕舞いは早いのですが・・なんかそこに喜びが感じられない自分がいるから。

楽しくなる提案をハート

それはきっとより良くなっていく提案でもあり、ワクワクのエキスをいっぱい含んでいたりもして、

自分だけでなく皆を心地よくしていくのではないかな。

 

リフォームと言えども母なる大地の心地よさを感じてもらいたい。

住まいに土はなくてはならないものだと思うから、パタパタでなく、野の草の仕事は時間がかかります。

 

 

 

 

竹を下地にして荒壁をつけていきます。

ボードや建材を使いたくない私たちです。

大地に無理なく自然と還っていく素材を、リフォームであっても使っていきたいもの。

 

 

そして壁に土が塗られていくこの瞬間、やっぱり土にして本当に良かった〜、と肌で五感で感じます。

 

 

大地に優しいものは人にも心地いいもの。

お施主さまも同様の想いであるようで、荒壁の乾きのなかに身を置き、しばしここでくつろぐのが何より心地いいと。。

設計者にとっては何より嬉しい言葉ですハート

 

 

じっくりとした時間のなかで、左官さんも2年ものというこだわりの熟成土。

この荒壁土をみれば、それは納得です。しっかりと大量の藁が繊維となり固まって、荒壁を強固なものにしてくれるでしょう。

『わ・ふ邸』リフォーム工事

リフォーム工事のわ・ふ邸です。

以前が思い出せないほどに変化の日々。

リフォームは、まさにビフォーとアフターの世界。

比較があるから、良くなっていく良さも日々感じるところ。

しかし良くなっていくと、リフォーム予定でないところに、ついつい目がいってしまう・・

 

『わ・ふ邸』も、せっかくなのでもっと良くしていきたくなって、

あっちもこっちもと、少し手を広げてリフォーム範囲を増すことになりました。

玄関先もタイル張りだったところを土間のタタキに仕上げます。

石を敷いてどんどん素敵にキラキラ

そして外壁も・・っと、さらなるリフォーム範囲が広がっていく笑

 

シンプルなリフォームだけど、ひとつひとつ職人さんとの細かなやり取りの積み重ねで出来上がっていきます。

量産型の家づくりにはないところ。

↑キッチンのステンレス天板の製作をムラコーさんと打合せ中

細かな細部の納まりを確認しあっていきます

特に木部との取り合いやシンクの形状の打合せ。

水の切れ方や、実際はあまり見えて来ない部分まで気を使い打合せをします。

毎度、シンクは微妙に改良を加えていて、常に試行錯誤。

今回は水切り棚をシンクに組み込んだ、AA STUDIOオリジナルもの。

↑カグマ製作所さんにて、キッチンや食器棚、ダイニングテーブル、椅子など、もろもろの製作家具の木取り中

一枚一枚個性のある木材をどういう風に振り分けて見せるか悩むところ。

木材と言っても優等生のトロの様なところばかりではないので、出来が良くない子たちもうまく使っていくために、頭を捻るカグマさん。この出来の悪い子が時にスターになることもあり。

木取りだけでも時間がかかります。

↑鍛鉄のTESSEN、山田さんと打合せ

以前から夢見ていた柔らかい線のフードを今回山田さんと初挑戦。

照明器具や門扉など既製品にない雰囲気のある物が出来上がりそう!

 

職人さんとのやり取りが楽しくて、設計士という枠を完全に外れている私。

設計者が、絵に描く餅が出来上がるのが待ちきれず、餅を一緒になってつくり始めたアンパンマン

そんな感じ。

線だけでは伝えきれない想いを、顔を向き合わせ職人さんたちと作り上げていく。

つくづくこの仕事が好きだな〜と感じます。

わ・ふ邸の施主さんも、手から生み出される仕事が大好きな方だからそれも出来ること。

もとめられてこそ、私も職人たちも力が発揮できる場を与えられる。

力の限りを尽くして、手仕事の良さを伝えていけれるような仕事にしていきたいものです。

 

 

 

 

 

 

 

奈良へ。。


急遽、奈良へ向かうことに。。
今、進行中の3軒のお宅で、どのお宅も偶然にも皆、松のフローリングを使う予定となっていて、
なかなか南国愛媛では入手困難な材であって、イメージにあう良い物が見つからず・・汗
あちこち探していた矢先。

ずっと以前から気になっていた製材屋さんがいて、松の床材を扱っている様子なので、急遽、奈良県へ。
やはり初めてお付き合いするところなのでお会いしてどういった材を扱っているか直接お話を聞きたかった。
今後も増えるであろう松の床材。
できれば安定して良い品質の物を手ごろな価格で提供してくれる努力をしてくださる製材所さんとの出逢いであればありがたい。
そのためにも逢って、お話をして、材に対する考え方を知りたい。

こういった事は、すでに設計事務所の仕事の域を超えているけど、
木材屋さんや大工さんや工務店さんから出される材料だけでは満足がいかない私たち。
自分たちの足を使って、いろいろと探し回って。。


昔ながらの家づくり、手ごろな値段で良質なものを提供し、誰もが昔のように気軽に木の家を建てられるようになるため、苦労は惜しまない。
高価で良い物は当然のこと。
しかし、手ごろな値段でありながら良い物づくりをする、というのはなかなか簡単ではないところ。
無駄を省いて、常に良い物をつくっていこう、そのためにどうするかという努力と知恵が問われる。
施主様にも、同じく無駄をなくすことや見極めを問う。
木と土の家が当たり前のように建てられる時代に戻していくためにも、こういった作業の繰り返しなしでは始まらない。

奈良と言えば、木材産地で有名な吉野の地。
吉野材の産地と言えども、苦しい昨今。
木を使うに相応しい家が無い時代。
嘆いていた。
山から下りてきた木が製材すればどんどん売れていた時代では考えられないこと。
だからこそ今、木がいかされる家の良さを、皆が一丸となって当たり前に普及していくことを願って
伝えていく努力をしなければ。。


っと、吉野の旅路。旅の疲れを吹き飛ばしてくれるかのような温泉ハート
完全、掛け流し、加水加温なし。はあ〜極楽極楽♪
これにて充電完了!
また明日から頑張らなきゃ手
木材産地の吉野、面白いね〜また行きたい〜。。