『つながる家+つなげる家』完成見学会&家づくり塾

 先週の土日は建て主さんのご厚意のもと『つながる家+つなげる家』の完成見学会&家づくり塾を二日間にわたっておこなう事ができました。両日にわたって本当にたくさんの方々に来ていただき、ありがとうございます。
家づくり塾も早々に定員オーバーで、残念ながら参加できなかった方々本当にごめんなさい。またの機会にぜひご参加くださいね。

完成したお宅をこうやって見て触れて感じていただくこと、それが何よりの説得力をもって、木と土の昔ながらの家づくりの良さをお伝えすることができます。見学会では建て主さんもご理解のもと、手袋なしで触れていただいたり、お茶や珈琲などをゆっくり飲んでいただきながら、木と土の住まいの心地よさを体感していただきます。皆さん、とても穏やかにそれぞれが心地いい場所でくつろいでいらっしゃいました。

さて家づくり塾のほうは、1日目は昔ながらの家づくり・イロハ編ということで、『〜木のコト、土のコト、草のコト 住まいの大切なコト〜』ということで、私のお話しでした。
木や土や草など、その地にねざす自然の素材を生かすことで、人も環境も生かされること。農や食が住まいと密接に繋がっており、食が大事であること。地の素材をいかし、人をいかすことで、喜びが和(輪)になって循環していくよ、というお話しをさせていただきました。

 

どう伝えたら、伝わりやすいか響きやすいか試行錯誤です。いつも趣向をかえながらのお話しですが、家づくり塾1回目から参加していただいている方に「お話が上手になったね」と言っていただいて、胸をなで下ろしました。なんだか参加者さんにいつも見守られているような感じがする私ですね
でも2時間ずっとしゃべりっぱなしの後は、いつも喉が痛くなります

二日目の家づくり塾は、昔ながらの家づくり・大工編ということで、大工さんから見た現代の家ってどうなの? 先人達から受け継がれてきた大工さんの智恵や技を、小林建工の若棟梁・小林優斗さんとお弟子さんの長野くんに語っていただきました。
今回初の試みです!
これからの木の家をささえていくことになる若い世代に語っていただきたかった

 

緊張ぎみだった優斗さんや長野くんでしたが、始まってみるとなんのその!お笑いもあって、とても分かりやすく、”タメ”になるお話しとなりました。
実際のプレカット材を用意し、プレカットの何が問題であるかを知っていただいたりして、専門知識のない者にも「こりゃマズイでしょ」っと分かりやすい体感で感じる内容。また大工さんによって手刻みされた金輪の継ぎ手の実物を、実際に目の前で込み栓を打ち込んで連結してもらいました。こちらも百聞は一見にしかず、一目瞭然でその強さを感じることができました。
こうやって目でみることで、プレカット材が金物に頼らなければもたない事、金物に頼るという事の弱々しさをヒシヒシと実感した次第です。

優斗さんいわく「今はデザインやシステムキッチンにばかりに目がいって、家の肝心なところに無関心では」と、大工としての叫びをあげました。長野くんは「こんなに素晴らしい技術がなくなるという事は、寂しいことだと感じませんか」と参加者たちに疑問をなげかけました。私もかげながらサポート。。

 

やっぱり大工さんの声には力があります。設計者が百回語るよりも「そんな家はイカンで」という大工の一言につきます。今の時代は、声を大にしてあげていかなければ本当のことが、メーカーの宣伝の前で打ち消されていきます。良い物がなくなっていくのはあまりにも寂しいですからね。
参加者さんたちからも、また次回も参加したい、建て前が見たいとの声があがりました。
またやろうね〜!(優斗さん、長野くん

そしてこの二日間、参加者の皆さんには土壁の暖かさを感じていただきました。
それは私たち自身も驚くべき体感でした。
建て主さんからも聞いてはおりましたが、5寸柱につく土壁の蓄熱効果はスゴイ〜!
薪ストーブを朝から5時間焚いておりましたが、熱くて午後の家づくり塾では室温24度!ストーブも稼動停止。その後、蓄熱された熱は逃げにくく、帰る7時頃も室内の温度は20度以上。
その翌日の朝9時、外気温7度のなか、室温は13度でまだほんのりと暖かい感じでした。薪の消費は、写真で写っている量、全部も使わないぐらいなのに〜!
う〜ん、我が家の薄々の土壁とは大違い!断熱材なしでも、しっかりと土壁をつければ、この効果
窓のほとんどは隙間があるとされる木製の建具なのに!適度な部屋の広さと、床下に土の断熱を施したのと、木製建具の室内側に障子を組み込んだのが、かなり効果が効いているようです。
参加者みなさんにも、しっかりと体感して頂いた次第です。。

完成見学会&家づくり塾が終わって、いよいよ『つながる家+つなげる家』の家づくりも終了です。
いつもながらなんだか嫁を出す親の気分
でも・・私たちの手を離れ、家族とともに大事にされ成長していってくれることでしょう。
家族を包み込みながら、家族の想い出をたくさん吸い込んで艶を放つようなお住まいとなることを、
設計者として心待ちにして、今度お伺いすることを楽しみにしております。。

どうも関わってくださった皆さん、ありがとうございました。。

追伸・早くも建て主さんからは「住まいだしてからの家づくり塾もやってくださいね」とお声が
楽しみに!

寒さもなんのその!

今年一番の寒さのなか『つながる家+つなげる家』では大勢の職人さんたちが最後の最後の器具付けでバタバタ。しかも完成間近なのに未だ窓ガラスがはいっていなくて・・超寒い〜
昔ながらの家づくりの場合は、最後の最後に建具やガラスがはいるもんだから、いつもこのパターン。木の建具を他の職人たちが作業中に傷めないようにと、水を含んだ土壁の仕上げには、この最後の方までガラスがはいらないというのは理にはかなっているんだけどね。
「お引越し前にはよく換気をしてね」なんて言うけど、昔ながらの家は引渡し寸前まで、常に換気されていることになる。もちろん雨がはいらないようにと養生はしっかりとしてはいるんだけどね。

それにしてもこの時期、そしてこの場所は風がとてもよく通り抜けてくれる。なので半端な寒さではないのです。職人さんたちもブルブル。立会いの私もブルブルです
ガラス屋さんは、午後からの手配。それまでグッと我慢。



 

照明器具やコンセント・スイッチ、テレビアンテナや、給湯器、ガスコンロやガスオーブンが設置されていきます。それぞれに忙しい職人さんたちです。
設計者のほうは何をしているかと言うと、器具類などを手配したりしている関係上、最後の取り付け指示をしたり、設置確認などをしている次第。この頃は、完全に設計監理業務の枠から外れて、施工管理業務となっています。昔ながらの家づくりをやっていると必然の流れとなったんですけどね。

 

まあ、またこの話は後日。

雪も舞っていましたが、お日さんも時折射し込んできて木と土の家の心地よさを感じます。
面白いのが、いろんな職人さん達が家づくりに関わっていますが、一通り自分の仕事をし終えたあとには、お決まりのようにジロジロと建物の随所を感慨深く見て帰られる点。
職人さんだからあちこち色んな現場を渡り歩いておられる事でしょうが、本当に感慨深げに、しかも熱心に、時にはどなたかに電話をされて「造りが、すごいんでなあ」と誰かに熱弁をしていたりもするのです。ありがたい事ですね。色んな現場を見て歩いて回られている職人さんたちが関心をもってくれる家というのは一番にうれしいことではないかと思います

今日は、この近くの集落の方と言われるご老人が来られて、「生きている間にこんな建物が見られるとは本当に嬉しゅうございます」と・・「この建物は国宝級にしてもよい建物ではないかとずっと伺っておりました」と・・
ご老人は熱心に語りかけてこられましたが、恥ずかしいような嬉しいような可笑しいような話です。

たしかに今の時代、自然の素材での家づくりと言っても、そう簡単に見られることがありませんものね。『自然素材の家』とうたっていても外壁は何故かサイディングだったり、モルタル塗りの家だったりで・・
この家は特別な国宝級な造りという訳ではありませんが、昔ながらの素材で、昔ながらの職人さんたちの技術をつかってできた住まいです。ただそれだけの事。
でもそこから発せられる空気は、誰もを惹きつける本物の力があると思います。現代が失いかけた空気というのでしょうか・・それを感じるのです。きっと職人さんたちもそれを感じて暫し足をとめて魅入られている様子。やっぱり力があります。。
こういった住まいをなくしてはいけないといつも思うのです。。

午後からはガラスも入りだしてやっと家になってきたという感じ。
現場を監理している設計者としても、やっと風がさえぎられ安堵の心地です。
やっぱり風が強い日、雨の日など、心が休まりませんもの。。
あと一息で完成。
いえ、まだまだ。あとひと踏ん張りです

家づくりも終盤。。

 『つながる家+つなげる家』の家づくりも終盤です。。
畳屋さんがはいったり、水道屋さんや、電気屋さんがはいって最終の取り付けをしているところ。。

畳屋さんは、遠く山口県からはるばる起こして頂いての畳の製作。
「えっ?そんな遠くから」と思われるかもしれませんが、採寸して、自分の工場で製作して、納品するという仕事なので、あまり現場との行き来の頻度がない職柄。近場にこだわらず良い仕事をしていただける畳屋さんとお付き合いをしています。
他の職人さん同様にこちら畳屋さんも私達が自分達の足でさがしもとめた職人さん。納得できる技術力はもちろんの事、畳職人さんとしての熱い想いがあって、若い方々に伝統的技法での畳製作を保存継承していくために活動をされているのも気に入ったところ。
荒川製畳所さんは日本で手床(てどこ)をつくることができる唯一お二人のうちの一人です。
『床(とこ)』とは、畳の芯となる藁を何重にもかさねて締め上げてできた物のこと。今は当然、藁床であっても機械床です。いえいえ、多くの畳主流は藁さえも使わないスタイロフォーム畳だったり、木質繊維を固めた建材床が主流であり、畳本来の良さは失われているとも言えます。
もちろん私達は藁床の畳が大好き
足に優しいし、長時間座っていても疲れません。寝転がっても気持ちがイイ。
建材床は、座っているとお尻が痛くなってきますね。

住まいが、クロスや合板やサッシで高気密化され、生活によって出てくる湿気の行き場が全て畳に集中して、藁床畳は虫がきやすいと、藁床畳が毛嫌いされ建材床に変わってきた経緯があります。でも悪いのは畳ではなく、住まい
呼吸しない無機質な素材や、息苦しいまでの気密化は、もはや自然の素材・畳さえも拒否してしまう。そんな住まいは畳どころか、人間さえも住みづらいハズ

今回の『つながる家+つなげる家』では、きっと畳くんも気持がいい家。
防虫紙も使用せず、裏面のビニールシートも付けず昔ながらの菰(こも)裏にしていただきます。何から何までもが自然素材の家なので、無機質素材のビニールなどは心地悪く感じるのです。
荒川さんも菰を探してくれて、なんとか国産の藁で菰裏の畳になりそう〜
しかも手縫いで表をつけてくれるそうで有り難し
今時はミシン縫いが主流ですからね。

こんな風に畳・・って一言で言っても、その仕様は様々です。
日本にあたりまえにある畳なのに、意外に畳のことを知らないのが日本人。
次回の納品時には、これから進める家づくりの建て主さんに畳の仕様を説明してもらおうと思っています。またご報告を。。

生活の場としての匂い。。

 『つながる家+つなげる家』も、キッチンや棚やデスクなどが造り付けられ、生活の場としての匂いがしてきました
なんだかワクワクしてきます。
私は生活感のない建築より、生活感のある建築のほうが好きです。
商業建築なら非日常空間ということで生活感がないというのも分かりますが、住宅は暮らしのための場。
生活感を排除するような家ではなく、生活感を雰囲気よく見せることができるような家でありたいと思います。
住まいは暮らしのための道具のようなもの。日々のあらゆる営みを、汚い物を隠すように生活感を無くするのではなく、包み込むような住まいでありたいものです。
この頃の斬新で奇抜な住宅建築では、一切の生活感というもの消してしまうようなつくりが見られます・・若い時はそれでも良いけど、歳をとったら正直しんどいですね・・。
メイドさんでも側にいて、常に綺麗に片づけてくれるのなら結構なのですがね。。

さて現場のほうは、キッチン台が設置されましたよ。

指物仕事で無垢だけでつくったキッチン台、素敵でしょ?
素材は、職人さんの倉庫に眠っていたケセンという木。赤身で木目もはっきりして、とても空間によくお似合いでした。建て主さんも、気に入ってくれ、一言目が「素敵な木ね」っと
まだ建具のガラスが入っていませんが、こちらにはユラユラガラスが入ってなお一層雰囲気よく
棚には、料理本や雑貨やお気に入りの食器たちが並びそうですね。
こんなに素敵なのに、システムキッチンなんかより、はるかに安いんですよ。
って言うか、「橋詰さんの仕事はいつも割りに合わないけど、楽しませてもらってますから」といつも言われるから特別なのかしら・・?
いえいえ、良い仕事をする職人さんたちほど、安いような気がします。優先順位が、お金一番じゃないんだよね。。
こんなキッチンつくってもらえるなんて、建て主さん羨まし〜
私も早く、Myキッチンをつくってもらいたいわ〜。

そしてこちらは大工さん製作の本棚&デスクです。
居間の一角に設けられた、家族のためのワークスペースです。
こちらも素敵でしょ

もちろん合板や化学糊は一切使っていません。
樺桜を支給して、大工さんにつくって頂きました。
「指物職人につくってもらってよ〜」と言われてしまいましたが、大工だって出来るンですから
お陰さまで素敵に出来ました。面倒な設計者です。。

長く使っていくためにも、こういった些細なところは妥協せず、こだわりたいところです。
毎日使う道具になっていくのですから。
生活の道具たちがそろってきて、今にも住めそうな雰囲気になってきて、心が躍ります。あと一息ですね。。

出来上がったばかりのデッキでは、建て主さんたちが、肌触りやベンチの座り心地を体感中でした。
子供たちも大喜び。子供たちの遊び場が、またひとつ増えました。
湯上がりビールをしたり、ここで一息ついて珈琲ブレイク。テーブルを出して、夕ご飯をここでするのもイイかも。あと一時すれば現実となる、そんな空想を膨らませているようで、設計者としても心が和みました

キッチンも指物しごと。。

 キッチン台の製作に今かかってくれています。
こちらも無垢材を使用して接着剤や合板を全く使わないつくりです。
昔ながらの家づくりは、家の構造だけでなく、他の職人さんたちの智恵や技術をも活かしていきたい家づくりです

材料を刻んで加工したところ。。
見てください、家のつくりと同じですね
まるで建前をまつ柱や梁のよう。
家具であっても、家であっても、昔あった智恵の源流は同じみたい。面白いです。

今回は、池内さんのところに弟子入りした馬ちゃんの初仕事となります。
馬ちゃん、どきどきですね。こうやって昔ながらの家づくりの機会をとおして、新たな職人さんが育ってくれていると思うと私達も嬉しいですね

 

職人さんにとって、ここまでの刻みは生みの苦しみ。
これからが楽しいところ、だそうです

確かに・・図面から読み取って、組み立てができるように柱や梁に仕口の加工をほどこすのは、かなりの一苦労。寸分の違いで合わなくなるし、組みあがった状態をこの時点ではもう完全に把握しきっていないと出来ません。
やっと組み立て作業とあって、馬ちゃん楽しそうです〜。

こちらでも建て主さんと一緒につくった米のりを使っていただいています。
せっかくの無垢材に接着剤は邪道です。
身体に安全な米のりが、木にも心地いいです


組み立て作業をみていてあまりに楽しそうなので・・「キッチンをキット化したら絶対売れそう・・」と思いつきました
でも即、池内さんに「これからが楽しいのに、嫌ですよ〜」って言われてしまいました
職人さんたちは、自らですべての工程に関わるから、やり甲斐も喜びも楽しさもあるのですよね。。
邪道な発想でした。。

 

うちの麻美子さんは隣で、熱心に池内さんから合板家具の話を聞いていました。(新入りブログをご覧あれ)今の時代は、キッチンから建具から、なんでも便利に合板でつくられます。
合板家具は出来あがった時が一番綺麗。だから完成時の写真うつりもいい。でも・・ハリボテ家具は、20年もすれば小口が剥がれたり、傷んだりして見るに耐えなくなります。うちのところにも、このところ立て続けに20年使用で見るに耐えなくなったキッチンの製作依頼が・・。(無垢材でつくりなおします。)
ハリボテは、やっぱり使用に耐えない。私も以前は合板で建具やキッチンや棚などを製作していましたが、せっかく綺麗に出来上がっても、数年で傷んでいっている姿を見て、やっぱり作り手にとっては残念でやり甲斐に欠けると思いました。
でも無垢なら、古い和家具などと同じように、傷も味わいにかわり、ずっとずっと使っていけれる。
そこには作り手だけでなく使い手にも、大事にしていきたいという気持にさせる物づくりがありますね。そこを目指していきたいところ

さて、完成はいかに?
現場にはいってくるのを楽しみに、お待ちしております〜

いろとりどり。。

 『つながる家+つなげる家』の昔ながらの家づくりも終盤です。。
お住まいの方も、暮らしを包みこむ器として相応しい雰囲気になってきましたよ〜。

玄関先には、ちょっとした季節の花を活けたり、設(しつら)えができる飾り棚をもうけました。
ベンチにもなるので、靴を履いたりする時に腰をかけるのも便利ですね。。
耳付きの桧が柔らかい感じでいいでしょ。
(※耳付き:木の皮の部分も切りおとさないで利用した材)

こちらはシューズルーム。
玄関から直接出入りができるシューズルーム。棚が事前にたくさん付いているので、雰囲気の似合わない下駄箱を購入しなくてもOK〜!
こういった造り付けの収納は、隙間を無駄なく効率的に利用できるので、いいですね。
大工さんは本当になんでも造ってしまいます。

シューズルーム奧に行くと、台所につながります。土間から直接、台所に直行できるという訳。そこに食品庫(食品収納棚)を設けました
土の床なのでヒンヤリ空間。そして適度な調湿もあって、食品の保存には向いた空間。
この棚には、味噌瓶や、梅干し、漬け物瓶などがきっと並ぶでしょう〜。楽しみ!

そして天井に引っ付く木の箱??
いえいえ、こちらは台所の換気扇フードの胴体部分です。
この下にステンレス製のフードが取りつく予定。
何から何までもが木です。

こちらは階段の途中にあるコーナー。
ちょうど本棚がとれそうなスペースがあったので、書籍コーナーのようになりました。
この階段途中の書籍コーナーがなんとも言えず居心地が良いスケール感です。
階段や窓に腰をかけたりして、床に座って、お茶でももってきて本でも読みたくなるスペースです。子供たちはここにおもちゃを持ってきて遊びたくなるような感じ。
建て主さんも「あのスペースいいわあ〜、子供たちがいつもあそこで遊んでいそう」
なんて私と同じ発想をしていました。

こちらは??
居間の片隅にもうけられたコーナー。
なんだと思います?こちらはこれからのお楽しみにしておいて下さい。

大工さんも日々、頭を悩ませてくれています。
「普通の家なら、とっくに終わっているのに〜」といつも言われます。
大工さんがつくる普通の家なら、押入や物入や床(とこ)廻りぐらいで、そんなに造作は多くありません。つくると言ったら下駄箱ぐらいかな。後は住む人が好きなように家具を置くつくり。
この家は棚が多い!と

確かに。でもせっかく健康に配慮して無垢の木の家をつくっても、建て主さんが合板の家具などをいれてきた時には、かなり残念だからね。それに綺麗に整理整頓できるように最初に効率的に使い勝手を考えてつくってあげる方が、暮らしもし易い
好きな器や、お道具を片づけたり、飾ったりするのも、暮らしの楽しみのひとつなのです。。そこは女性的発想なのでしょうかね。男性陣の大工さんたちには、あまり理解されないような・・
とくに30坪満たない小さな家。だからこそ適材適所に収納がほしい。
でも大工仕事は今月には終了。最後の大物をやってくれています〜!

あとはそれぞれの職人さんの出番。
なんだか大工さんが抜ける時期かと思うと、いつもながら寂しくなってくる〜
それはもうこの家づくりも最後が近づいているから。。
出来上がるのは楽しみなんだけど、別れるのはツライ・・といった複雑な心境なのです。。

でも・・建て主さんより、完成見学会をしてもいいよと、お声をかけていただきました
みんなが頑張った家づくり、見てもらえそうです。
そうする事で大工さんや他の職人さんたちも、むくわれます。。
2月中頃になりそうかな〜
お楽しみに

地味に仕事中。。

 『つながる家+つなげる家』も終盤にさしかかろうとしています。。
いろんな手配が山ほどあって忙しい〜

現場に行くと、何やら左官さんたちが、寒風吹きさらすなか地味に何かをやっています。
ん〜竹に麻を巻き付ける作業。
ん〜、、、、地味!

今回はチリ廻りの隙を出来る限り食い止めるために、一手間を施すことに
始めて見る作業内容です。
よくトンボは見ますが、この竹にヒラヒラが付いた物は始めて。
どうやら矢野左官さんのお祖父さんがされていた手法らしいです。

それにしても麻縄を一つ一つ竹に結びつけていく作業は、気の遠くなる作業・・。
ん〜それでもトンボよりは、まだ楽らしいですが。
トンボは釘一本一本に、麻縄を一つ一つ結びつけていくから、さらに手間がかかる。
そう言われればそうです。
今の時代、既製品でありそうなものですが・・。(既製品に寒冷紗テープがありますが、アレはなんだかとっても味気ないです・・
この手近にある材料を使って、自らで生み出すというのが矢野左官さんの素晴らしいところで、AA STUDIOが惚れ込んでいるところ
今時、こんな左官さんいませんよ。
すべてが既製品のオンパレードです。

 

若い私達にとってはこういった手で生み出す昔ながらの方法というものを一つ一つ見るという事が勉強になります。設計者にとっては最高の学びです。現場に学び、職人に学ぶのです。。
貴重な機会を、、『つながる家+つなげる家』の建て主さんありがとう〜
いつもながら建て主さんにはとても恵まれていますね。。

全てが人の手によって生み出されるというのが昔ながらの家づくりの大きな根っこでもあります。
そこには先人たちが試行錯誤した結果の智恵が見られます。
ん〜素晴らしい

それにしてもあんまりにも寒風が吹きつける中で地味仕事をやっているので、2階の部屋でやったらどうかな?と提案しました。さっそく皆、移動。

ほら、2階は暖か。風がないので、麻も結びやすい
地味な下ごしらえがあってこその左官仕事です。
棕櫚を解いたりするのも、気の遠くなるような地味仕事ですね。
今の効率主義の社会から言うと、完全に対局の世界に位置します。
すべてが時間のなかで生み出されていく左官仕事、かたや時間を極限まで切りつめていく今の社会の仕事。私は前者の左官仕事が好きだな。そこには人間的な時間を感じますね。
後者はきっとドンドンと人を切り捨てて、または人を機械的に使っていくやり方になっていきます。そんな社会に人間味はありませんよね。

こういったコツコツと時間をかける仕事が評価され、まわっていけれる社会になる時こそ、社会が本当の意味で成熟した時なんだろうな〜と思います。。

 

柱や桁の際に打ちつけ、中塗り土を塗りこめていきます。

地味仕事、好きだな〜。
いつもながら矢野さんにはいつまでも元気で頑張って欲しいものです

土の床、たたき。。

 『つながる家+つなげる家』も、今はいろんな職種の職人さんがはいって目まぐるしく現場も変わっていく時期。玄関の床もそろそろ工事です。

定番になりつつある、いつもの柔らかく優しい土の床でいきます。
木と土の家づくりには、やっぱり土の床、たたきが良く似合います〜
以前は、豆砂利洗い出しやタイル貼りを使っていたんだけど、雰囲気が固いんだよね・・。
豆砂利洗い出しはセメントの硬さがあって・・、タイルも焼き物がゆえに固い雰囲気。物によっては均一すぎる・・。
土をたたき締めたタタキの柔らかさ優しさは、タタキにしか出せない風合い
この風合いが、なんとも言えず飽きのこない風合いなのです。。

タタキ土間には適度な調湿性があって、食品保存にはもって来い
そう、昔は土間に、芋類などをよく転がしていたんだよね。
土付きの野菜にも馴染みがいいのが土間だし。
夏の暑い最中、ヒンヤリと涼しい土でできた土間が、食品をもたせるには絶好の場でもあるんだ。

こういった気化冷却の働きをうむ良い土間をつくるためには、隠れた工夫が必要
それは土間の部分にはコンクリートを打たないという事。
これは土の土間をつくるための不可欠要素でもあるんだ。

適度な湿り気が地面から土間に伝わることで、土間が長持ちをするんだ。
コンクリートを打ってしまうと、地面と土間は遮断されて、土の床が次第に乾燥してしまって、割れやすくなったり、剥がれやすくなったり、埃っぽくなったりするんだよね。
適度な湿り気があがってきてくれる事で、いつもしっとりとした表情を保って、土の割れを防ぐんだって。そしてその湿気が気化する際に、気化冷却の働きによって、ヒンヤリした空気を生み出すという訳。う〜ん、自然の摂理をうまく利用したのが土の床ということを感じるね。。

このヒンヤリ効果を利用して、玄関だけでなく、食品庫を土間に設けました〜
現代の家は、蒸し暑い家。食品が過発酵しすぎたり、腐りやすく、日持ちをしない家だと思う
冷蔵庫・エアコンだよりの家だよね。
でも昔ながらの家は、生きることが良く練り込まれた家づくり。
そのなかで食の保存はもっとも大きな先人たちのテーマだったと思う。
だから昔ながらの家には、食を保存したり加工したりするための術が織り込まれているんだ

 『つながる家+つなげる家』の建て主さんとは、一緒に味噌づくりを何度となくやってきて、食べ物をしっかりと保存できる場所が欲しいね〜という想いがあって、今回、土間に食品をストックできる場をもうけることになったんだ。
ん〜いまから楽しみ!

昔ながらの家づくりの良さは、構造や素材だけでなく、こいった生きていくために先人たちが遺した暮らしの智恵がそこにあることだと思う
実は、それがもっともこれからの時代、問われる住まいではないかなと思うところ。。

左官さんがパンパンと土をたたき締めている。
木づちで叩くというローテクな技術。

 

素材は現場で、目の前で練られます。
土・砂利・にがり・石灰・水
ただそれだけ。ただそれだけというのが心地いい
そこには身体を悪くするような物も、環境を壊していく物も、ないから。
だから心地いい。。

柔らかく優しいって、、
きっと見た目ではない優しさや心地よさが溢れているんだろうな。っとふと思った。
母なる大地の優しい、すべてを生かすふところがそこにあるんだ
ん〜だから惹かれる訳。
やっぱ、やめられません。

叩いて、コテで綺麗に均して、出来上がり〜
いえいえ・・瞬時に乾かすのは、御法度
養生をして、数週間、じっくりと水分がぬけるのを待ちます。

 

このじっくりさ加減もいい感じ。。
ローテクでスローな床、素敵だと思いませんか

職人たちの仕事は、プライスゼロ。。

 『つながる家+つなげる家』も少しずつ出来上がってきておりますよ

例の階段も、狭い狭いところに大工さんがはいって仕事をしてくれていました。
おかげで階段が完成〜!長野くんありがとう。
かなり面倒だったようです

 

さっそく建て主さんたちも、階段をのぼっていました。
今まで危険な足場をつかってでしか2階にあがれませんでしたからね。これで気軽に2階にあがって2階の進捗状況を見れますね。子供たちも大喜びです

そして浴室に窓がつき、お風呂気分を楽しんでいる、ご家族の面々
和やかでいいなあ〜。気分はこのお家にもう暮らしている感じかな。。
この日の事を子供たちの想い出のなかにいつまでも残っていてくれると嬉しいな。。

頑張ってくれた大工さんに、建て主さんも休日ごとに差し入れをしているみたい。
心遣いがありがたいですね。いつも手づくりお菓子をもってきてくれます。

さて、建具屋さんのほうも「まってました!」とばかりに、登場〜です。
もう外回りの窓枠は出来上がっていますからね。
これから建具の製作にかかるために、ひとつひとつの窓を採寸していきます。
建具屋さんから・・
「玄関の建具を格子戸にしたらどう?これだけの家じゃから、お金うんぬん言わんき、やってあげたらいいわ。図面を書き換えておいで」「それと・・トイレの戸とかも、もうちょっと気張ってもいいんじゃない、お金は言わんけん、木も山ほどウチにはあるんやからね」っと
嬉しい申し出です
ローコスト住宅での家づくりだったので、玄関戸なども今回はシンプルな木製框戸にしていました。格子は手間がかかるとあって結構良い値段なのです。建具屋さんの「やってあげなさい」という有り難い申し出〜

つくづく職人さんたちは、お金ではないんだよな〜と感じるところ。
どうせ仕事をするなら、いい物にしたい、喜んでもらいたい。それが職人なんだよな〜っと。。
今の時代、そういった職人気質の人がいなくなって、お金や効率ウンヌン言う人が多いです。悲しい時代。でもお陰様で、私の廻りの職人さんたちは、みなお金ではなく、気持で動いてくださる人ばかり。それに自分の仕事に誇りをもっている人たち。大工さんも、左官さんも、建具屋さんも、板金屋さんも、家具屋さんも、皆皆。
そういった職人さんに支えられて、この『つながる家+つなげる家』もさらにより良くなっていく

家づくりって、結局は、仕事をしてくれる職人次第です。
設計者の図面は、絵に描いた餅でしかありません。
もちろん絵に描いた餅も大事なんだけど、職人たちの気持や心意気次第で、その中味は変わっていきます。設計者としては、絵に描いた餅以上になっていく家の姿、職人さんたちが自らの判断や提案で、さらに家がバージョンアップしていく姿にワクワクするのです
それなら・・玄関戸と、洗面所の戸と、トイレの戸をなんとかしたいなあ〜

今回は、ローコスト住宅です
っと言っても安普請のローコストではなく、本格的な伝統構法でのローコスト化を目指した住宅
100年200年もたせるための家づくりです

◎金物を使わない仕様、1階の床から木を組んでつくるつくり。柱・梁は5寸巾ものを使い、大きな大黒柱が家の中心にあり、ドデカイ登り梁や牛木などの梁組が全てあらわしとなって見えるつくり。
◎床下は、白蟻や腐りを寄せつけず100年200年もの年月に耐える工夫。
◎構造材は、80年生以上の樹齢で、目込み材を使用。
◎荒壁土は1年熟成させた土を使用。
◎屋根は杉皮の防水に、千枚で葺いた面戸の瓦や、鬼瓦や他の瓦も昔ながらの粋な仕様。
◎畳は、文化財でしか使われなくなった備後中継ぎの手織表を使用し、床も播州床(またはそれに近い同等品)での50年100年耐えていく畳。
◎襖は、ダンボール襖や厚紙の下地ではなく、下貼りを7枚おこなって、苛性ソーダや塩素漂白や防腐剤を使用していない昔ながらの本物の寒漉き・板干し和紙を使用した襖。
◎建具は、浴室・洗面の窓以外は、すべて建具屋さんがつくる特注の木製建具。
◎キッチン台は、指物職人さんがつくる指物での無垢材を使って製作。
◎薪ストーブ、屋外デッキ、ブラインド、浄化槽、井戸付き
◎外構の植栽工事や庭石や飛び石工事も含む
◎指物仕事による無垢材による大型ダイニングテーブル付き
◎竹細工職人による特注竹細工照明2ヶ所
◎合板やボードなどの素材は一切不使用

っと、話せば話すほど、きりがなく
大工さんや左官さんだけの技術だけでなく、昔そこにあったあらゆる職種の素晴らしい仕事、より良き物づくりを遺していくための家づくり仕様という訳〜
これでナント税込み2500万!

これを高いと思うか、安いと思うかは、それぞれ個人の建築の熟知度によるかな(笑)。
職人さんたちの手しごとによる、自然の素材をつかった本物の仕事は安いのです
30年経てば住むに耐えなくなるメーカー住宅に、お金を捨てるより、100年200年もっていく家をつくる事、賢いお金の使い方だと思うんだよね〜。しかもそれにプラスして、職人さんたちがさらに家の仕様をより良いものへと高めてくれるんだから
↑これはプライスゼロ

職人さんたちや先人たちが育んできた素晴らしい技術や智恵をのこし、ゴミも出さず、地球環境も汚さず、身体にも優しく、山や自然を育む、心から心地いい〜家づくり。
どんどんと広めていかなきゃね、っといつも感じます

だんだんと。。

 『つながる家+つなげる家』は、今は造作工事中。
天井が張られ、壁の下地がつくられ、階段や食器棚などが少しずつ出来上がっていきます
柱と梁の構造体としての空間から、暮らすための場としての雰囲気が感じられるようになってきて、わくわくせずにはいられません
そう、大工さん達に伝えると・・
「良くなっていかんかったら、やっている意味がないもんね」っと言われてしまいました。
確かに、大工さんたちの丁寧な仕事があってこそ、良くなっていき、わくわく感がまします。今は、ひとつひとつ形が出来上がっていく姿に、建て主さんも一番わくわくしているのではないでしょうか。

洗面所と台所の天井が連続して見えるので天井板の目地が合うように、大工さんが気を利かして天井を張ってくれました
ちょっとしたところだけど気になる所です。ナイス
こういった些細な気遣いが出来上がりを左右しますね。
設計者があえて言わなくても、心遣い気遣いで、大工さん側でできる配慮がありますからね。そういった仕事を目にすると、こちらも嬉しく思います

さて、今回の階段はかなり面倒な納まりです・・
(上の写真で一般的な納まりと違うのが、分かる人は分かるかな?)
小さな住まいを最大限有効に利用するために、階段下もトイレや収納として隙間無く利用しています。そのため階段は上からも下からもオール見える造りで、気が抜けない大工さんなのです・・。
大工さんの一般的な階段の納まりは、下が隠れる造りです。
今回は大工さんにとって初の納まり!かなり大工泣かせの納まりで、何度も何度も確認しながらやってくれていました。出来上がりが楽しみです〜
面倒な設計者の注文。でもこれも経験のひとつですね。
大工さんの概念を覆すような仕事も、時に、あらたな可能性探しのようなもの。。
先人たちも常に、新たな可能性をもとめて、果敢に挑戦してきたのが家づくりです。
時に遊び心もあり、時に危うい時も、でも必ずそういった経験の積み重ねで職人たちは可能性を探り成長してきたのではないでしょうか。。

 

こちら小林建工さんは生粋の日本建築をつくられる大工さんです。
だから時折、摩訶不思議な設計者の納まりに、?となることも時折あるようです(苦笑)。
そこはお互いに話し合って、こちらの意図を伝えます。また大工さんも大工さんの考えを聞かせてくれます。互いの考えが調和する時と、またそうでない時もあります。
納まりディティールは、その住まいの雰囲気を決定づけるほどの要素であります。小さな些細な納まりが全体の空間の空気に影響するのです。ボテっとするか、すっきりとするかは、小さな納まりの積み重ねできまっていきます。
日本建築では、おおよその納まりが決まっています。だから大工さんたちがつくる建築は、やっぱり日本建築風の薫りが漂ってきます。そこを少し現代的にしていくために薫り付けをかえることを設計者は意図的にします。大工さん的には、いつもの概念から外れた納まり・・困惑もあるようです(笑)。
また私の方も大工さんの固定された概念に戸惑うこともあります(笑)。
お互いのやり取りから、伝統を遺しつつ、これからの時代にもとめられるような新たな形を探し求めることを、やっていきたいと思っています。

今の大工さん達が造る日本建築と、先人たちが造ってきた日本建築とでは、薫りがちがうように。その時々で変わっていくのが家づくりかもしれませんね。。
生粋の日本建築をつくる大工さんと、スタイリッシュでモダンなものも嫌いではない設計者とのコラボから生まれてくる新たな日本建築のスタイルが楽しみでもありますね。。

特にこちら小林建工さんは若い大工さんたちも多いから、これからの若い人たちにも受け入れられる日本建築をお互いに探っていきたいな〜と思います。。