『風薫る家』ちょっとお披露目。。

先日、『風薫る家』もお引渡しが終わりました。
これで私もちょっと一息です
でもまだ庭工事が
夏ということもあって庭木に負担のかからない秋ごろに庭づくりをおこなうので、今しばらく庭のない状態。だから今はちょっと見て下さいと言わんばかりに家がでしゃばっているので、設計者としてはとても恥ずかしい感じやっぱり家は木々の間から見え隠れするぐらいが、控えめでちょうどいいですね。

ひとまず 『風薫る家』ちょっとお披露目です。。

今回は、建て主さんが和のアンティークの小物や家具をたくさんお持ちなので、それに合うようにちびっと和テイストを加えました。
壁は化学糊を使用している既成品ではなく、左官さんにこしらえて頂いた本物のじゅらく壁です。
渋い色合いが和モダンの空間に渋みをきかせています。

ねずみ色の壁なんですが、こんな渋い壁もイイでしょ
またまた本物が織り成す壁の魅力に、はまってしまった設計者であります
この壁のもつ空気感、忘れてますよね。現代の建築は!

またひとつ新たな感覚を発見したかのような気持ちになります。
だから止められません昔ながらの家づくり。

手法は昔ながらだけど、決して古臭くはない家づくり。
先人たちが幾世代にも渡って磨き上げ、そして電気や断熱材に依存しなくても快適に住まうことのできる家。日本という温暖多湿な気候で100年200年と長く家をもたせていく知恵がつまった家。それは決して古臭くはない。



大切なのは、先人たちが残したものを生かしながら現代の物づくりをしていくこと。
たった一世代で考えられた物なんて、たかが知れています。
この日本という地震もあり湿度もあるという気候の下で試行錯誤されてきた知恵。
それは尊い宝であります。
それに対して今を生きる人たちが謙虚であるということが問われているのかな?

ゴミを出さず、石油資源を浪費することなく、電気に依存しなくても快適に住まう知恵。地球資源を食い尽くすのではなく持続し循環できる昔ながらの家は、今の時代最先端の家だと言っていいのではないでしょうか。
だからやっぱり止められない

もっともっと、人(職人)を生かし、自然を生かし、木と土の昔ながらの家づくりが広まっていくことを願って、AASTUDIOの家づくりは今後もつづいていきます〜

第4回ミニ家づくり塾『<畳編>畳の仕事を知る!』&完成見学会 開催しました。

強い陽射しが照りつける猛暑のなか、 第4回『<畳編>畳の仕事を知る!』&完成見学会を開催いたしました
夏真っ盛り!お日さんの下にいれば数分もしないうちに汗だくだく状態になります。さすがに参加者さんが熱中症になってもいけないので、今回思い切ってイベント用の大きなテントを購入してのミニ塾開催となりました!

ずっと欲しかったテント・・でもかなり高いんです
しかし家づくり塾をご支援いただく参加者皆さんのお陰。今までの家づくり塾の参加費が積もり積もってテント購入に至りました
これで雨の日、日照りの日を気にせずに、家づくり塾が開催できます〜
どうもありがとう〜 みんなの参加費が集まって購入できたテントと思うと、このテントの下には良いエネルギーが集まりそうです

さて、今回ミニ家づくり塾の講師となる荒川製畳所の荒川さんは山口県の畳屋さんです。いつもAASTUDIOが仕事をお願いをしている畳屋さんでもあります。畳屋さんもいろいろと探し歩いて、地元ではなかなか私たちが求める畳屋さんに出会うことが出来ませんでした。そして結果・・山口県まで足を伸ばすことに。
昔ながらの家づくりは、昔あたりまえにあった、理にかなった本来の仕事を取り戻していくことを家づくりの活動のひとつにしています。しかし本来の仕事ができる畳屋さんがいなくなっている現状があります。こちら荒川さんは、日本でも手縫い床を製作できる唯一二人のうちのおひとり。
いろいろと本来の仕事を残そうとご尽力をされていて、私たちも毎度毎度仕事を通して畳の奥深さを学ばせていただいている次第でもあります。

「家を建てるなら畳の部屋が欲しい」
そう願う建て主さんはまだまだ多いです。しかし、畳を選ぶうえで何を基準にどんな畳を選択すればよいかと言うことを知っている人は99%いないのでないかと思われます。これは何も素人さんだけの話ではなく、建築に携わっている工務店さんや大工さんや設計者たちも同じだと言えます。
本来なら良い畳が使われて、「あ〜やっぱり畳がいいねえ」って言われるところを・・、まったく畳というものを知らないが故に、価格だけで畳が選ばれしまっている現状がそこにあります。
そうなると長持ちせずに早く痛んでしまって、「畳よりフローリングにすればよかった」とか、硬い畳をいれてしまって「座っていると腰が痛い!」とか、虫がきて「畳はやっぱりダメや!」なんてことに・・

私たちは日ごろ「安い」ということで物を選びがちですが、本当はそこにある物の成り立ちや造りをちゃんと知ったうえで、値段という対価を評価したいところです。
また私たちが選ぶ物ひとつひとつの選択によって、実は私たちの社会や未来が選択されていっているという事を知って欲しいです。物を買うということは、その商品の裏にあるバックグランドを選択しているということでもあります。

とくに今のままではあと10年しないうちで、一昔前には当たり前にあった善き物たちが消えうせてしまう事になります。畳も深刻・・。あたりまえにあった畳がなくなろうとしています。
日本の伝統的な床材であった畳が、たとえ残ったとしてもそれはもう職人が手づくりするような物ではなくカタログで選ばれるような工業製品となってしまって、とても畳と言えない物が残ることに・・。
本当にそれで良いのか・・?

私も以前は「畳なんて・・」と思っていた設計者のひとりでした。
でも畳のある暮らしをしてみて思ったこと「なんと快適なことか!!」
それからと言うもの畳の間を積極的に提案していってます。茶の間が畳の間。。
狭い日本の家で、しかも予算のないなかで質の良い家づくりをしようと思えば、無駄を省いていかなければいけません。そんななか畳は、ソファやダイニングテーブルやベッドに占領をされない分、常に空間を限定せずに使えて、且つ広々と空間の有効利用が可能です。しかも冬は足が冷えにくく暖かい!
子供がおもちゃを広げて遊んだり、根っころんだりするのにも最高に畳はやさしい床材だと言えます。
畳のある暮らしを見直してほしい。。

今回、荒川さんには移住先の我が家の古畳を手仕事で修繕していただきました。
60年物の我が家の古畳、ヨレヨレボロボロですしかし60年前の我が家の畳には、なんと手織りの中継ぎ表が使用されていて、だからこそここまで持ち堪えたと言われていました。今回、床を修繕し、その畳表を裏返ししました。まだまだ使っていけれる。

大事に物を使っていく、そんな昔あたりまえにあった日本人としてのスピリッツを大事にしたいものです。。昔ながらの家づくりはそんな結晶でできた家です 物を大事に繕いながら長く使っていく知恵がいっぱい詰め込められています。。
それこそがエコですし。ずっとずっと以前から先人たちが実践してきたことです。
守りたい。そんな物やスピリッツが失われようとしている現実をちゃんとみつめて、向き合い行動をおこせる人間になりたいです。

暑い暑い中、古畳修繕に休みなく皆さんに作業を披露して下さった荒川さん、ありがとうございました。
美しい光景、ずっとこの先も子供たちにも残したい光景です。
畳の良さが伝わったことと思います。どうもありがとうございました

『風薫る家』の見学会&ミニ家づくり塾の講座『畳の仕事を知る』 開催します!

♪♪『風薫る家』の見学会&ミニ家づくり塾の講座『畳の仕事を知る』 のお知らせ♪♪

昔ながらの家づくり完成見学会のお知らせです!
今回の完成見学会は、ミニ家づくり塾の講座を優先していただくことになり見学のため
の時間は16時〜19時までとさせて頂いております。
限られたお時間ではありますが木と土の昔ながらの家の良さをご体感くださいませ。
また当日のミニ家づくり塾のための講座『畳の仕事を知る』では、一般の参加者さんも
講座への参加が可能となっております。(参加費200円が必要ですが)
ぜひこちらも合わせてご参加ください。以下は、当日のミニ塾講座のご案内です。

******
今回は<畳編>『畳の仕事を知る』ということで、山口県から来られる畳屋さんに手縫
いの実演と畳のイロイロをお話して頂こうと思っています。
「山口県??」って思われるかもしれませんが本来の仕事ができる畳屋さんがいなくな
ってしまっている現状がそこにあり、AASTUDIOはいつも山口県の畳屋さんに仕事をお願いしている次第。今回、お話していただく荒川さんは、畳床まで手づくりでつくることができる日本でも貴重なお方!
今回は、あの懐かしい畳屋さんの風景として目に浮かぶ、畳の手縫いの実演もしていただくことになりました。今時、機械にとって変わられてすっかり畳を手縫いする風景がなくなった畳業界です・・。ある畳屋さんは「自分は畳職人とは言えない、機械のオペレーターです」と語っていたのが印象的・・。
そういう風に言わしめる物づくりがそこにあります。
この機械に頼った畳づくりによって、このままいけば数年後には日本の伝統的な畳も
なくなってしまうかも・・という危機を私たちは感じています。
そんな現状も知りつつ良い畳とは?といった畳の選び方・見極め方も学びましょう〜!

今、我が家は築60年の古民家を借りることになり自分たちで修理している最中ですが、
たった数十年前までは部屋という部屋はすべて畳でした。なんと我が家の畳は全部で36
畳あります!今時の家は、あって6〜8畳でしょうか・・。無い家も・・。
それだけ日本の住まいが洋風化されてしまったということです・・。
やっぱり日本の気候風土のもとで畳のある住まいとても快適です。ホッと落ち着きます
し、畳の間はリビング・ダイニングといった用途に限定されず、客間や寝室として、襖
を外せば広い宴会場としてなど多目的に部屋を利用することができ、狭い日本の住まい
を広く使う知恵のひとつでもありました。ぜひこの機会に畳を知ろう〜!

AASTUDIOの家づくり塾はどこでも聞けない貴重なお話が山ほど!
ぜひお見逃しなく!お待ちしております。。

◎日程:8月11日 日曜日
 <スケジュール>
   ※13:30〜15:30 【ミニ家づくり塾講座】『畳の仕事を知る』荒川製畳所さん
         ◎内容:普段聞けない畳屋さんのお話と実演  2時間ほど 
                  ◎参加費:家づくり塾活動資金として一人200円となります。
           (一家族1000円で今後の残りミニ塾への参加も可能です。) 
 
  ※16:00〜19:00 【完成見学会】完全予約制です。
           見学会のみ参加はこの時間帯のみとなります。
           
◎申し込み:メール(asuka-archi@nifty.com )にてお申し込みください。
        地図をお送りします。

あ〜暑い暑い
この暑い中、『風薫る家』の最後の木部のオイル拭きをAASTUDIOにて行っております。塗りだすとキリがなくなるオイル拭き・・。

だってオイルで拭かれた木部は艶が出て美しいんだもの!
やめられない止まらない・・・。
ドつぼにはまって、床拭きだけのつもりが、梁や柱や建具や外部まで・・。
この家は主に木でできてあるので、まさにキリがない・・

それを考えると、これを造った大工さんもキリがないぐらいに木ばっかりの仕事だったんだろうなあ〜
こうやって木部のオイル拭きは、携わってくれた大工さんの苦労の一滴にも至らないぐらいのたいへんさを感じる良い機会でもあるのです。。
見学会でみなさまに良い雰囲気を感じていただくために、もうひと頑張りします
お待ちしておりますね。。

『風薫る家』の現場も。。

 すっかりブログご無沙汰状態です・・
今年はAASTUDIO始まって以来のハードな日々がつづいておりまして。
それもこれも私たち自身の新天地への移住リフォームも合い重なって・・という訳
まあ、少し仕事を自粛しましたので、あと一息で完成の『風薫る家』が終われば、少しはゆとりが出てくるかと思っています。。
木と土の家の素晴らしさを発信していくのが私の仕事だから、発信もできない余裕のなさではイカンですわ

『風薫る家』もあと完成まで一息。
もう1年4ヶ月かかってます。水木棟梁の妥協なさには感服いたしました。
”見えないところに手をかける”
たぶん今までのどの現場より手がかかっていたかと思います。出来上がれば、見えなくなってしまうので、どこに手がかかっているのかは正直分かりません
そんななかでも見えないところに手をかけてくれた水木棟梁に感謝!
これも独立後の初の家づくりで気合が特別だったからかな?
さっさと済ませてしまえばその分、仕事も速く、手離れもいい、金銭的にも楽なんですが、そこが水木棟梁です。妥協を許さぬ姿勢 こっちが金銭的にも心配してしまうぐらいです

水木棟梁は最初から、あまりお金には執着しない性格の大工さん。
良心的な仕事ぶりです。今の時代は、いかにより多くの利益を搾り取るかで、奮闘しているビルダーが多い中で、こういった大工さんに家づくりを頼むことができる建て主さんは、つくづくラッキーだと思います。
水木棟梁は、まだ若手なので、これからもドンドンとがんばって欲しいところ
ぜひ家づくりを考えられる方がいたら、お声をかけてみてください。ご紹介をしたいと思います

そうそう、『風薫る家』もそろそろ完成見学会の準備をしなくてはいけない時期に
庭工事はこの猛暑のなかでは、草木も生き延びれないので秋ごろになりそうですが、
ひとまず続・ミニ家づくり塾として完成見学会とともに『畳』の講座をひらきたいと思っています

ミニ家づくり塾の予定は、ひとまず8月10(土)、11日(日)に予定
ミニ塾に登録されている方には詳しい内容をメールしたいと思っています〜。。

一手間掛けて。。

『風薫る家』の現場、 左官さんが何やらいつもと違うことやってます。
いつもの竹摺から、今回は藁縄・棕櫚縄・麻縄を使い分けてます。
左官さんの提案で、一手間かけてくださって、さらに図面よりバージョンアップしそうです。
ありがたいことです。
図面があるから図面どおり・・ではなく、やはりより良きものを目指して現場は常に図面から変わっていきます。手間うんぬん言わずに提案してくださるのだから、建て主さんにとっては何よりありがたいことです。
また若い大工さんたちにとっても昔ながらの本来の仕事というのは、始めて目にする事ばかりでとても勉強になります。次なる世代に確実にバトンを繋げていってます
だから昔ながらの家づくりの現場は、わくわくします。
さてどんな仕上がりになるかな?

facebookをはじめて、近況報告はそちらが主になってしまってイカンです
ブログがほったらかしになってしまいます
昔ながらの家づくりや日々のこと、facebookでupしてます。
https://www.facebook.com/asuka.hashizume.10?ref=tn_tnmn
いつもブログを覗いて下さる方は、facebookでもお友だち申請をしてください

見事おさまりました。

先の難題な長〜い、窓枠が無事納まりました
お見事
入念な刻みの賜物であります。
なかなかこういった苦労は分かっては貰えないところ
取り付けられて当たり前・・のようなところがありますものね。
こういった造作の仕事、手を抜いて仕事をしようとすればいくらでも出来ます。
なかなかビジネスライクでやっていると「手を抜かないとやっていけない」というのは、正直なところ。
出来上がれば見た目は同じですから・・。(もちろん長い目でみたら同じではありません)
水木棟梁の生真面目な性格は、そういった事を許しません。
ありがたいことです

しかし、またしても次の6mものの窓枠が待っています
どこまでいっても気が抜けない大工仕事がつづきますね・・。
それでも水木棟梁はいたってこの表情。

楽しんでいるみたい。
よかった
手を抜かず正直な仕事ぶり、
長くこの家に住まっていく建て主さんにとっては、何よりありがたいことではないかと思いました

手間がかかってます!

 『風薫る家』のその後です。。
荒壁仕事・床の土断熱も入れ終わり、大工工事が始まってます。
窓枠となる木製枠の取り付けにはいりました。

IMG_9289.JPG

今回、大開口になる窓は、鴨居・敷居の長さは6m!
若い大工さん二人、設計者が書いた図面とにらめっこしながらやってくれています。
既製品はポンとはめれば簡単に取り付けられますが、木枠は組み立ての手順を誤ると納まりません。しかも難易度大の納まりです!

IMG_9292.JPG

この長い鴨居に溝らしいものが、所々に掘ってあるのがその難易度大の納まり。
実は鴨居が反らないように反り止めとして蟻桟が鴨居の上部に納まるようになってます。
長い間で木が反って不具合ができるだけおこらないように・・と。

 

蟻桟は鴨居に吸い付くような造りにもなっております。
鴨居に掘った台形の溝に、蟻桟の凸凹がピッタリと合ってこそ効果あり。
大工さんの慎重かつ丁寧な仕事が要求されます。
もちろんこういった仕事はあまり今時の家づくりでは手間がかかるのでされません。
ありがたいことに棟梁の水木さんは手間うんぬんではなく、誠実に挑んでくれています。(感謝)
建て主さんにとっては何よりも有難いことではないかと思います。
今時、どうやったら手を抜けるか、どうやったら利益が得られるかを考えた家づくりが多い中、こういった誠実な仕事は見られなくなりました。
もちろん急かされる家づくりでは、こういった仕事は不可能と言えますので、建て主さん自身の「早く住みたい!」という欲求が、自分自身の住まいの価値を下げているともいえます。
長い年月が経った時に、しっかりとした仕事は、家の価値として現れてくることになります。

IMG_9308.JPG

しかもその蟻桟は建物本体の構造と一体化しております。
上の写真は蟻桟が建物本体と一体になった様子。
ここに先ほどの6mの鴨居が蟻桟の凸凹にはまり込んできますので、さらに難易度大!
ほんの1mmでもどれか一つ桟の位置がずれていたら、鴨居は全く納まりません
しかも蟻桟の利き具合で、鴨居が入らなかったり、揺るすぎたりがあります。
この仕事の難しさが伺えるかと思います。
さて鴨居は納まるか?
若き大工、二人の力量さてさて、ここは見所ですね〜



熱い熱い建前4日目。。

 熱い熱い建前も4日目になりました。
常に現場に張っている私も、もう真っ黒!
現場に到着するとすでに登り梁がはいっており、メインディッシュを食べ損ねた感じです・・
でも、ひとまず難なく納まったということですね。。

美しい登り梁の様子。LDKの空間はこの登り梁が表しになって見えてきます。
木組みの美しさ、大工さんの技が堪能できる空間といっていいです。
こういった木組みの昔ながらの家づくりを始めてから、変にデザインをしなくても、そのままありのままで十分に魅力的な空間づくりができるようになりました。
いえ、小手先だけでデザインした空間がどんなに頑張っても生み出すことのできない用の美、力強く本質的な美しさをそこに感じることができるのです。
ひとつひとつが意味をもって存在し、和になって、ハーモニーとして生み出される美しさ。それは木組みだけでなく、大地の柔らかい風合いの土壁であったり、温かみと手触りのよい木の建具であったり、ほっこりとした紙の表情であったり、清々しい草の薫りをはなつ畳であったりと、すべての調和をもってこそ生み出される空間と言っていいです。そこに本質的な美しさ。私たち生き物が生き物としてもとめてならない美しさを強く感じるのです。。
ボード張りだった家から、土壁の家を初めて実践し体験したときに感じたことでした。。

心ひかれる美しさをそこに感じませんか?誰もが感じる美しさのようなもの・・
なんだろう・・?っと感覚に耳をすませていると、そこには大地そのものの美しさ、心地よさ、感動があるように常々感じるのです
人の手が加わったものだけど、自然のものを最大限に生かそうとするとき、自然はちゃんと応えてくれる。大地の美しさがそこに存在しています。。
『生かす・和』というのは、私の生き方のテーマでもありますが、昔ながらの家づくりをして、この家たちに教えられたことです。
忘れていた感覚・・日本人としてのスピリッツがそこにあるのです

さてさて建前から、話がそれていますが・・
母屋がかかり始めます。母屋がかかる束も、さり気なくロフトの手すりが支えることに・・これ用の美ですね

棟木は何気に、棟梁がカケヤをもって納めていました。
皆のさりげない心遣いを感じました。。

玄関の土間、縁桁などが納まっていきます。
この家は下屋がおおく付いていて仕事がいつもより多くありました。初の大仕事となった水木棟梁、サブ棟梁で棟梁を支えてくれた大石くん頑張りましたね
初にして見事な建前となりました。私も肩の荷がおりました〜

 

今の時代、若い大工さんたちはどうしても経験が不足してしまいます。大工になっても墨付けや刻みを必要とする現場がないからです。プレカットは便利で楽だけど、でもその一方で若い職人さんたちを育みません。若いやり手の大工さんがいても、それが生かされる現場(家づくり)がなくては、技術が受け継がれていかないのです。今のほとんど多くの現状はそうです
応援に来ていた最年少の大工さんが言っていました。
「こんな現場から言うたら、今やっている俺達のしごとは大工と呼んだら申し訳ない仕事や。貼り物ばっかり(ボード貼りや建材ばかり)で、大工じゃなくて貼り物屋さんと言った感じや・・。」
若いやる気があって能力があったとしても、そこに育む場がなければ若い子は育たないです。悲しい時代・・ 

それは家を建てる方々にとって最も不幸な話ですが、またそれはイコール、わたしたちの未来を示唆しています。若者を育むことのない未来が待っているのです。そんな社会は機械に人間が使われ、喜びや、自然や人を生かすことのない社会です。そんな社会でいいですか〜?
今回、応援に来てくれた大工さんたちは「すごく刺激になった〜」「手伝いにこれて本当によかった〜」と言ってくれました。大石くんも「この家に携わって間違いなくこれからの自分の仕事に大きな影響が出る」と。たかが一軒の家づくりだけど、その影響は確実に大工さんたちの心に何かをのこしたようです
重労働の建前であったけど、水をえた魚のように、笑顔がたえない建前。嬉しいかぎりでした。

昔ながらの家づくり。
育み生かす喜びの家づくり。。
ひろげていきたい。。

みんなお疲れさま。ありがとう〜
そして貴重な機会を与えてくださった建て主さんに深く感謝いたします
お疲れさまでした〜


熱い熱い建前3日目。。

 建前3日目になってきました。
連日、強い日差しのなかの建前、大工さんたちの仕事ぶりに尊敬のまなざしなくしては見れません

建て主さんも、連日ずっと大工さんたちにお茶を振舞ったりしながら見守ってくれています。やはり大工さんたちが苦労して何ヶ月にもわたって刻みあげた材がカタチとなっていく姿を、目に焼き付けること、それが大工さんたちの労に対しての礼儀でもあります
昔ながらの家づくり、礼には礼をつくす。お互いが心をつくすことで成り立つ家づくりでもありますからね。それが大切

建ってしまえば見えなくなる仕口や継ぎ手の巧みさをしっかりとビデオに納めていましたよ〜

建物のほうも、差し物類がはいっていき、どんどんと組みあがりにくくなってきました。
まるで難解なパズルのよう・・。1階2階通しの通し柱は、すでに足元や腰まわりが組まれており、ビクとも動きません。そのなかに差し物類を組み込むのはそう容易ではありません。でも智恵を出しあえばなんとかなるもんです
少し時間はかかりますが、ひとたび納まった材はそう簡単に抜けることがないということを実感します。そして差し物類でひとかたまりのようになった壁は、地震の際に柱の上下だけの仕口が力を負担するというより、まるで格子状になった幾箇所もの仕口で力を負担しあうカタチに。



こちらは小黒柱。こちらもあっちもこっちも差したり掛かったりしなければいけないので、時にはフレームを広げたりしながら入れ込んでいきます。長いホゾが小黒柱に突き刺さります。

やっと納まったかと思うと、今度は反対側の梁を。建て主さんもこの瞬間をのがしてません

あっちもこっちも掛かったり差さったりするから、やっぱり入れにくい。

でもひとたび納まれば、どんなことがあってもビクともしないような、安心感が沸いてきます。

そして随所で、さらにフレームを固めるために、梁の上にさらに梁を載せて、木を幾重にも組んでいきます。こうすることで梁組みが格子状になり、水平方向の粘りにつながります。
一般的な工法では合板や筋交いや火打ちで固めますが、昔ながらの家づくりはそれらを使わない分、木組みである程度の粘りを出すわけです。逆に言えば、一般的な工法は木を組まなくなった分、それら合板やらに頼らなくてはいけなくなったとも言える訳です。

材と材が噛み合わさっていけばいくほど、全体で力を負担したり分散したり粘ったりします。それが木組みの真骨頂でもあります
差し鴨居や差し敷居、足固など、現代の家づくりが捨て去ったもの達によって、ひとつひとつが地震の際の底力となって機能しあうつくりなのです。
昔ながらの家づくりは、和の家です。すべてが和となって全体でもって機能していく精神がそこにあります。すべてを生かすこと、それが和のスピリッツ。う〜ん、この和のスピリッツにいつもながら畏敬の念が絶えませんね。。



綺麗。。。
美しい。。。
こころを打つような美しさがそこに存在します。なにか現代人が忘れ去ってしまっている美しさを。。
きっとここには木を生かし、人を生かし、自然を生かす。存在ひとつひとつをいかして、全てが和となって調和していく世界。和のスピリッツの美しさがあるからこそ。。
私が昔ながらの家づくりに感じるエネルギー、そしてもっとも惹かれる理由です。。
こんな家づくりに携われて、いつも幸せなわたし〜

棟があがりましたよ〜
でもまだまだ。。

なんだか建前なのに・・今度は繊細な作業?



この繊細な作業に加え、こっちもあっちも差し込まないといけないから、かなりたいへんです。結構、これ建前の時に、大工さん嫌がるんですよね〜
うまくいくかな?



昔はよく長屋門などのタテ格子もこうやって建前の時に入れていたんだって。うまく納まって、いい雰囲気〜
どこか、風を感じますね〜
またひとつ昔ながらの家づくりに、教えられたような感覚
建前4日目につづきます。。

熱い熱い建前2日目!

 建前2日目です。今日もアツイアツイ
さすが職人集団!建前2日目とあって、それぞれの持ち場や段取りがのみこめ、全体のチームワークがとれてきたようです

かの宮大工・西岡常一氏は『木の癖組は人組みなり。人組は人の癖組みなり』だと言いましたが、今回は個性ある一匹狼の若い大工さんたちがあつまって、その誰一人もが欠けても成り立たない建前であることを強く感じました。
棟梁が指図することなくそれぞれが一番にベストと思われる持ち場に自然と落ち着き、自然とその個性にあった仕事をこなしていました。すごいその連携プレーの巧みさと、個々の力が最大限に生かされているように感じたのは、どこか同年代の大工さんたちが、初の大仕事でもある水木棟梁の建前を皆で支えるといった気持ちが自然発生的に生まれたからのように、私には感じたところ。。

木組みは人組みであって、人組みは心組みであると言います。
水木棟梁は、経験豊富で皆にどんどん指図して「俺について来い!」的な棟梁ではありません。どちらかと言うと物腰が柔らかい控えめな棟梁さんなのです。それがかえって皆の力を発揮させたように感じますね。。
なんだかまた大切なことを教えられたような気がします

棟梁も「僕がやったのではない。みんなが支えてくれたからできた。」と、やっぱり控えめ。この控えめさが、みんなを主役にした建前でした。
そして棟梁サブで、棟梁の右腕となって皆の志気を高めてくれた大石くんの存在はとても大きく、今後の彼には期待が募ります。。
ホント、、よい心意気をもった大工さんたちばかりが集まってくれて、よかった〜

若いってすごいですね〜
力もエネルギーもあります。そしてそれぞれに難所をくぐりぬけるために智恵を出し合います。ひとつになってという感じです

そして今回はよく差し口が効いていました
差し口が効くというのは、ホゾとホゾ穴がピッチリに造られているということ。もちろんその分、かなりカケヤを叩かなくてはホゾも入りにくいです 力も時間もかかるという事。大工さんたちも暑い日差しのなか汗だくになりながらカケヤを振ってくれました。たぶん・・このホゾの効かせようで一日分は余計に建前の時間がかかったのでは?と思います。しかし、それは建て主さんにとっては絶対的な安心感でもあります。一生の家の寿命や強度に左右することでもあるのなら一日分余計に時間がかかってもキツメに仕口がつくられている方が正解です。

入って納まってしまえば、ホゾがゆるくてもキツクても同じように見えます。プレカットはゆるゆるでグラグラした仕口のつくりです。しかしゆるゆるにすれば出来上がってから建物全体が揺れやすくなります。木の家では、ひとつひとつのホゾの効きが全体をもたせることになりますから最も重要であり、目に見えない大切な部分です。

昔ながらの家づくりは、柳のようにしなやかに揺れるつくりだと私はよく言いますが、でも地震のゆれでクニャクニャに揺れてはいけません。ある程度、ホゾが効いてくれて、そしてそれ以上の強い地震力が働いたときに、ホゾ穴のなかでホゾがめり込んで揺れるのです。
よく昔ながらの家は地震がきて、揺れて傾いても、その傾きが元に戻るといいます。
それはこのめり込んだホゾが、また元に戻ろうとする復元力が発生するからでもあります。

大工さんの一人に建前の感想をきくと・・
大工さん「この家はぜんぜんグラグラせんかった〜すごいわ!」
設計者「いつもはグラグラするの?」
大工さん「プレカットはグラグラやね。カケヤなんかいらんで手ではいるぐらいやからね(笑)!」
設計者「なんでそんなに仕口が甘いんやろ〜?」
大工さん「仕口の甘さは調整ができるようになってるらしいけど・・、早く建てる、メーカーはやっぱ効率優先やけんね〜。どこも・・」
っと、メーカー住宅に応援に行っている大工さんが言われていました。

強く言います!
木の家は本当は目に見えないところが命です
強度も寿命も、そこ次第で決まるのです
法律や保険や金物が命を守るのではないという事。
大工さんたちのしっかりと手間と時間をかけ、最善を尽くそうとするきっちりとした仕事が、命をまもるということに他ならないということです
建前2日目終了。。まだまだこれから。

出来上がってカタチとなっていく姿を感慨深げに眺める水木棟梁と大石くん。
その想いはいかほどなのでしょう