大地とつながる床。。


 『ゆとりの家』工事終盤となっています。
どんどん仕上がっていく家に、寂しさもこの頃から増していきますね。。

さて、例のモルタルもセメントも使わない、自然素材だけでできる床を工事中です
素材は、土(砂利)と石灰とニガリと水。
こんなシンプルな素材で床ができます。
そう、昔ながらのタタキ』の床です。
木と土の家には馴染みがいい床

構造体の木や、壁の土と同様に、身近で無尽蔵にとれる天然素材であります。
ゴミも出ず、家の寿命がきた時は、家と共に土にかえっていきます。
ほんと、いつもながらこれ以上に自然に優しい素材はありませんね。
目の前で練られていくのは何よりの安心感もありますね

材料を混ぜ合わせ、玉になった土をタタキ締めていきます。
すると石灰とニガリが反応して緩やかに固まっていきます。
闇雲にタタキ締めてもいけません。均一に叩かなければ、目に見えない土の層が不均一になり、あとあと割れの原因になります。

ニガリは土を固める役割もあるけれど、適度な湿り気を土に保たせる役割もあるようです。タタキ土間で、乾燥は禁物なのです
乾燥しすぎると、土である床は、痛みやすくもなるからです。土ホコリもたちやすくなります。
適度な湿気をキープすることで、表面の土はくっ付き合っていられるのです。

そのためタタキ土間のもっとも大事なことの一つに・・
『大地と繋げる』という事が肝心になってきます。
大地とつなげることで、大地からの湿り気が適度にあがってきて土間を健全にたもつのです。もしタタキの下に基礎でも打とうものなら、タタキは長くはもちません
う〜ん、昔の物は面白いです。
よく割れ割れになったタタキ土間を見ますが、それはその顕著な例。

湿り気=悪い、というイメージをもつ人がいますが、湿り気といっても本当に微かな水分なので、悪さをする湿気とは異なります。
土間の役割としても、適度な湿り気がある方が、夏場はその気化冷却の働きで空気が冷やされ、建物室内を冷やす役割があります。また、それとともに土間に野菜などを置いておくのにも、この土が大地とつながって適度な湿り気をキープしてくれ、野菜の保存性が良くなるのです。
大地とつながるは最も大事なことでもあるのです

セメントやコンクリートやタイルの床と大きく違うのは、この大地につながって呼吸しているという事でもありますから、タタキ土間の下に基礎を打つとその良さは無くなってしまうと言っていいでしょう。。

優しく柔らかい風合いの土間。。
左官さんも「この柔らかい雰囲気がいいやろ〜」っと。
なんだか吸いこまれるように優しく柔らかい雰囲気になるのは、母なる大地とつながっているからなのかな

さあ、土間完成〜と言いたいところですが・・
しばらく水分が抜けるまで、静かに静かに養生させてあげなくてはいけません
あと一ヶ月半ほど・・。工事終盤というのに
自然のものは何事も急ぎ仕事ではできませんね。
住まい手にもそれを受け止める大らかさが必要となってくるという事です

木と土の昔ながらの住まいは、住むにも自然素材への大らかさが必要な住まいですが、その工事段階からもまずは住まい手の大らかさが試される、いえ育まれると言ってもいい家ですね。
ここで待てない人は=まず自然素材の家には住めない、という事にもなりますね

さあ、おおらかに。
自然とともにありましょう〜

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