今、『風薫る家』の見積もりをまとめている最中です。。つくづくこの頃設計事務所のしごとの範疇を越えているな・・と感じる次第。。
っと言うのも、「左官はこの職人さん、表具はこの職人さん、指物家具は・・、屋根は・・、畳は・・」っと、職人さんたちを指定していたら、だんだんとAA STUDIOが仲介する職人さんたちばかりになってしまった。その結果、数量の拾いをしたり見積もりを取ったりするのは、私たちの常のしごとに・・。
結果、工事見積もりは私たち設計者の仕事に・・。
普通は、工務店さんがこの仕事をするんだけどね・・。ずいぶん以前に「分離発注をしたいな〜。」と思って、分離発注をしている人に相談もしたりしたけど、その時は、あんまりにもハードルが高いような気がして、引いてしまったのだけどね。今は知らず知らずのうちに気が付いたら、そういうやり方になっていた。。
通常の工事見積もりは、職人さんたちから上がってきた見積もりに幾分かの上乗せがおこなわれる。これはこの工事を請け負う請負さん(工務店さん、大工さん、メーカーさん)たちの利益分。これが案外バカにならないぐらい乗っていることもあって、仮設工事なんて「設計士は分からないから」と乗せやすい項目のよう。
さらにそうして積み重ねられた見積金額に、経費が乗せられる。これが各社ちがって1割〜3割ぐらい(この割合は良心的な工務店から、少しでも利益を取りたい工務店で異なる)。2000万の工事総額が出ていたら200万〜600万は経費でもっていかれる。ついでに消費税分を各職人さんたちから値切って、それも利益にしてしまう事は結構あたり前の様子。
だから請負さんが頂く金額はかなりの金額。その割りに職人さんたちは泣いていたり、施主さんは質を妥協するしかなかったりする。
私たちにとって昔ながらの家づくりをするのには、本来の仕事ができる職人さんたちが欠かせない。そんな職人さんたちに本来の仕事をしてもらうためには、それに見合った妥当な単価を支払う必要がある。当然、すこし金額がかかる。でも、
無駄なところにお金をかけず、かけるべきところにお金を使えば、ぜんぜん難なく質の高い家づくりが実現していけれるのです。
職人さんたちも喜びつつやり甲斐のあるより良い仕事に励め、施主さんも質の高い住まいを手にすることができるという訳。そんな良い話は他にない訳で・・、いつのまにか気が付いたら私たちが、無駄なお金をかけないために走り回ることになっていたのです(苦笑)。。
しかも私たちは経費をいただく訳でもなく、設計料で走り回っている訳だから(苦笑)、こんなに質の高い家はない(笑)と。。←まあ、これもちょっと問題ありかな(苦笑)。
でもこういったやり方をする事で、私たち自身も身になって設計者としてさらに大きく勉強になってきたところ。材木も自分たちで購入していくことで、木のこと、山のことが深く自分たちの事のように感じるようになってきた。お任せではあり得なかった。職人さんたちの仕事だって、深く深く知ることにもなった。
これはお金の使い方を、より良い使い方にシフトしていくための勉強だし、職人さんたちの仕事が未来に繋がっていくためには、多少の労力・犠牲?(笑)は必要。。
『自分たちで全部を把握する』ということは、決して苦労ではない。楽しみや喜びが増えるという事でもある。
多少のリスクはあるかもしれないけど、建て主さん職人さん設計者の3者で、しっかりと一つのプロジェクトを達成していくという意思さえあれば、問題は問題には至らないことも感じる。今は自分の利益だけを守ろうとするから問題になる。でもみんなで問題を解決するために」動けば、そんな事にはならない。
っと言いつつも・・いろいろとやってきて、また問題が見えてきた。
「どうすればいいか・・」日々いろいろと山ほどの課題を感じ、徳さんとも語り合う日々。それだけ今の住宅産業は問題を抱えているということ・・。真剣に向き合わないと自分の足元、未来という足元を崩すことにもなる。より良くなっていくために。。
これは
設計士成長のチャンス!っと受け入れて、問題を解決しようではないか。。
そうやって成長してきたのが私たちだから。。
そしていつも応援団となってくれたのが建て主さんたちだから。
一歩一歩が大切だと思う、一歩一歩を実現していく今日この頃です。。