キッチンも指物しごと。。

 キッチン台の製作に今かかってくれています。
こちらも無垢材を使用して接着剤や合板を全く使わないつくりです。
昔ながらの家づくりは、家の構造だけでなく、他の職人さんたちの智恵や技術をも活かしていきたい家づくりです

材料を刻んで加工したところ。。
見てください、家のつくりと同じですね
まるで建前をまつ柱や梁のよう。
家具であっても、家であっても、昔あった智恵の源流は同じみたい。面白いです。

今回は、池内さんのところに弟子入りした馬ちゃんの初仕事となります。
馬ちゃん、どきどきですね。こうやって昔ながらの家づくりの機会をとおして、新たな職人さんが育ってくれていると思うと私達も嬉しいですね

 

職人さんにとって、ここまでの刻みは生みの苦しみ。
これからが楽しいところ、だそうです

確かに・・図面から読み取って、組み立てができるように柱や梁に仕口の加工をほどこすのは、かなりの一苦労。寸分の違いで合わなくなるし、組みあがった状態をこの時点ではもう完全に把握しきっていないと出来ません。
やっと組み立て作業とあって、馬ちゃん楽しそうです〜。

こちらでも建て主さんと一緒につくった米のりを使っていただいています。
せっかくの無垢材に接着剤は邪道です。
身体に安全な米のりが、木にも心地いいです


組み立て作業をみていてあまりに楽しそうなので・・「キッチンをキット化したら絶対売れそう・・」と思いつきました
でも即、池内さんに「これからが楽しいのに、嫌ですよ〜」って言われてしまいました
職人さんたちは、自らですべての工程に関わるから、やり甲斐も喜びも楽しさもあるのですよね。。
邪道な発想でした。。

 

うちの麻美子さんは隣で、熱心に池内さんから合板家具の話を聞いていました。(新入りブログをご覧あれ)今の時代は、キッチンから建具から、なんでも便利に合板でつくられます。
合板家具は出来あがった時が一番綺麗。だから完成時の写真うつりもいい。でも・・ハリボテ家具は、20年もすれば小口が剥がれたり、傷んだりして見るに耐えなくなります。うちのところにも、このところ立て続けに20年使用で見るに耐えなくなったキッチンの製作依頼が・・。(無垢材でつくりなおします。)
ハリボテは、やっぱり使用に耐えない。私も以前は合板で建具やキッチンや棚などを製作していましたが、せっかく綺麗に出来上がっても、数年で傷んでいっている姿を見て、やっぱり作り手にとっては残念でやり甲斐に欠けると思いました。
でも無垢なら、古い和家具などと同じように、傷も味わいにかわり、ずっとずっと使っていけれる。
そこには作り手だけでなく使い手にも、大事にしていきたいという気持にさせる物づくりがありますね。そこを目指していきたいところ

さて、完成はいかに?
現場にはいってくるのを楽しみに、お待ちしております〜

いろとりどり。。

 『つながる家+つなげる家』の昔ながらの家づくりも終盤です。。
お住まいの方も、暮らしを包みこむ器として相応しい雰囲気になってきましたよ〜。

玄関先には、ちょっとした季節の花を活けたり、設(しつら)えができる飾り棚をもうけました。
ベンチにもなるので、靴を履いたりする時に腰をかけるのも便利ですね。。
耳付きの桧が柔らかい感じでいいでしょ。
(※耳付き:木の皮の部分も切りおとさないで利用した材)

こちらはシューズルーム。
玄関から直接出入りができるシューズルーム。棚が事前にたくさん付いているので、雰囲気の似合わない下駄箱を購入しなくてもOK〜!
こういった造り付けの収納は、隙間を無駄なく効率的に利用できるので、いいですね。
大工さんは本当になんでも造ってしまいます。

シューズルーム奧に行くと、台所につながります。土間から直接、台所に直行できるという訳。そこに食品庫(食品収納棚)を設けました
土の床なのでヒンヤリ空間。そして適度な調湿もあって、食品の保存には向いた空間。
この棚には、味噌瓶や、梅干し、漬け物瓶などがきっと並ぶでしょう〜。楽しみ!

そして天井に引っ付く木の箱??
いえいえ、こちらは台所の換気扇フードの胴体部分です。
この下にステンレス製のフードが取りつく予定。
何から何までもが木です。

こちらは階段の途中にあるコーナー。
ちょうど本棚がとれそうなスペースがあったので、書籍コーナーのようになりました。
この階段途中の書籍コーナーがなんとも言えず居心地が良いスケール感です。
階段や窓に腰をかけたりして、床に座って、お茶でももってきて本でも読みたくなるスペースです。子供たちはここにおもちゃを持ってきて遊びたくなるような感じ。
建て主さんも「あのスペースいいわあ〜、子供たちがいつもあそこで遊んでいそう」
なんて私と同じ発想をしていました。

こちらは??
居間の片隅にもうけられたコーナー。
なんだと思います?こちらはこれからのお楽しみにしておいて下さい。

大工さんも日々、頭を悩ませてくれています。
「普通の家なら、とっくに終わっているのに〜」といつも言われます。
大工さんがつくる普通の家なら、押入や物入や床(とこ)廻りぐらいで、そんなに造作は多くありません。つくると言ったら下駄箱ぐらいかな。後は住む人が好きなように家具を置くつくり。
この家は棚が多い!と

確かに。でもせっかく健康に配慮して無垢の木の家をつくっても、建て主さんが合板の家具などをいれてきた時には、かなり残念だからね。それに綺麗に整理整頓できるように最初に効率的に使い勝手を考えてつくってあげる方が、暮らしもし易い
好きな器や、お道具を片づけたり、飾ったりするのも、暮らしの楽しみのひとつなのです。。そこは女性的発想なのでしょうかね。男性陣の大工さんたちには、あまり理解されないような・・
とくに30坪満たない小さな家。だからこそ適材適所に収納がほしい。
でも大工仕事は今月には終了。最後の大物をやってくれています〜!

あとはそれぞれの職人さんの出番。
なんだか大工さんが抜ける時期かと思うと、いつもながら寂しくなってくる〜
それはもうこの家づくりも最後が近づいているから。。
出来上がるのは楽しみなんだけど、別れるのはツライ・・といった複雑な心境なのです。。

でも・・建て主さんより、完成見学会をしてもいいよと、お声をかけていただきました
みんなが頑張った家づくり、見てもらえそうです。
そうする事で大工さんや他の職人さんたちも、むくわれます。。
2月中頃になりそうかな〜
お楽しみに

褒め上手。。

 『イチョウのある家』に行ってきました。
今回は、お孫さんが誕生されたとの事で、階段降り口への落下防止のための小扉製作をご注文いただき、納品という訳でした
いろいろと事あるごとに、呼んで頂けるのは設計者としては嬉しいことです。しかも季節は何故だか、いつもイチョウの季節。(気のせいかしら?)

お伺いすると、お宅を設計させて頂いた当時と何ら変わらずに、手製のおやつをつくって待っていて下さいます。嬉しいですね〜
いつ行っても『イチョウのある家』は、ホント心地いい〜
この心地よさはなんだろう〜といつもながら思います。
家具職人の池内さんも、「この家いいっすよねえ〜、いいっす、いいっす」って、何度も何度も横でうなっているから可笑しい
池内さんも感じるように、未だに私もよく理解できない心地よさがこの家にはあります。

しいて言えば・・程よいほの暗さ・・?
なのでしょうか。質感が生きる暗さと言いますか、今の家が無くした品の良い暗さを感じるのです。「暗い」というと、嫌なイメージがするでしょうが、いえいえ。これがたまらん暗さなのですよね〜。

さてさて製作された小扉の設置です。
小さいお孫さんが来られた時のほんの一時だけの使用なので、外す事も考え、出来るかぎり現状を傷めず取り付けができるように設計をしました。またフランス丁番を使って、扉が必要ない時は、工具を使わなくても扉を簡単に外せる工夫と、常時は簡単に抜けない工夫もされました。扉の鍵も、雰囲気を壊さない物を探して。

 

 

細部のディティールも可愛いでしょ。。
小さな扉ですが、いろんなアイデア満載です

雰囲気も馴染んでいる様子。。
下打合せをしていたものの、扉が付くと、いたく大感激の建て主さん。
「素敵〜」「わああ、こんな風にして下さったのね」「子供が大きくなっても付けておきたいわ」「これでしばらくこの扉を眺めるだけで楽しめるわ」「この木の色合いがいいわ」と、次から次へと本当に感激されるのです。。
いやはや、職人(設計者)としては、ここまでして喜ばれると嬉しいもんなんですよね〜。

そう言えば、このお宅の工事をさせて頂いた時も、本当にいろいろと喜んで頂いたり、感激して頂いたりして、お陰で職人さんたちの仕事に拍車がかかったものです。
家づくりでは、褒め上手がいいです。
職人さんたちは、みんな子供のように純粋だから、褒められると、次から次へと仕事に気合いがかかって、どんどんと仕事の質がよくなっちゃうんですよね〜
褒め上手は100倍おトクでもあります
職人さんたちのテンションを如何にもちあげる事ができるか・・それは建て主さん次第
そんな事もあって、このお宅は心地いい空気なんだろうか〜。

おかげで気分の良くなった職人の池内さんと設計者の私
最後は、池内さんの去った後に、「本当に気持ちのいい職人さんですよね」と建て主さん。どこまでも褒め上手でありました。。
心地いい住まいは、きっと建て主さんの心地いいお人柄なのでしょう。。

地味に仕事中。。

 『つながる家+つなげる家』も終盤にさしかかろうとしています。。
いろんな手配が山ほどあって忙しい〜

現場に行くと、何やら左官さんたちが、寒風吹きさらすなか地味に何かをやっています。
ん〜竹に麻を巻き付ける作業。
ん〜、、、、地味!

今回はチリ廻りの隙を出来る限り食い止めるために、一手間を施すことに
始めて見る作業内容です。
よくトンボは見ますが、この竹にヒラヒラが付いた物は始めて。
どうやら矢野左官さんのお祖父さんがされていた手法らしいです。

それにしても麻縄を一つ一つ竹に結びつけていく作業は、気の遠くなる作業・・。
ん〜それでもトンボよりは、まだ楽らしいですが。
トンボは釘一本一本に、麻縄を一つ一つ結びつけていくから、さらに手間がかかる。
そう言われればそうです。
今の時代、既製品でありそうなものですが・・。(既製品に寒冷紗テープがありますが、アレはなんだかとっても味気ないです・・
この手近にある材料を使って、自らで生み出すというのが矢野左官さんの素晴らしいところで、AA STUDIOが惚れ込んでいるところ
今時、こんな左官さんいませんよ。
すべてが既製品のオンパレードです。

 

若い私達にとってはこういった手で生み出す昔ながらの方法というものを一つ一つ見るという事が勉強になります。設計者にとっては最高の学びです。現場に学び、職人に学ぶのです。。
貴重な機会を、、『つながる家+つなげる家』の建て主さんありがとう〜
いつもながら建て主さんにはとても恵まれていますね。。

全てが人の手によって生み出されるというのが昔ながらの家づくりの大きな根っこでもあります。
そこには先人たちが試行錯誤した結果の智恵が見られます。
ん〜素晴らしい

それにしてもあんまりにも寒風が吹きつける中で地味仕事をやっているので、2階の部屋でやったらどうかな?と提案しました。さっそく皆、移動。

ほら、2階は暖か。風がないので、麻も結びやすい
地味な下ごしらえがあってこその左官仕事です。
棕櫚を解いたりするのも、気の遠くなるような地味仕事ですね。
今の効率主義の社会から言うと、完全に対局の世界に位置します。
すべてが時間のなかで生み出されていく左官仕事、かたや時間を極限まで切りつめていく今の社会の仕事。私は前者の左官仕事が好きだな。そこには人間的な時間を感じますね。
後者はきっとドンドンと人を切り捨てて、または人を機械的に使っていくやり方になっていきます。そんな社会に人間味はありませんよね。

こういったコツコツと時間をかける仕事が評価され、まわっていけれる社会になる時こそ、社会が本当の意味で成熟した時なんだろうな〜と思います。。

 

柱や桁の際に打ちつけ、中塗り土を塗りこめていきます。

地味仕事、好きだな〜。
いつもながら矢野さんにはいつまでも元気で頑張って欲しいものです

ロケットストーブづくり。。

 忙しくてなかなか日記が書けずにいます。
この頃は、時間を凝縮したかのように内容の濃い日々。。
それにしても時が経つのに体がついていけれません。
噂では時間が加速しているとか・・。

さてさてそんななか先日の日曜日はロケットストーブづくりを体験してきました
内子の余田さん夫婦の主催でおこなわれたロケットストーブづくり。
今、ひそかにロケットストーブが流行りつつあるとか。
ロケットストーブは普通のストーブと違って、その構造において気流を生み出して、薪を完全燃焼させるらしい。だから煙も煤もあまり出ないという噂らしいんだが・・ホントかな〜。
それに長い煙道を土で埋めてしまってベンチにしてしまい、蓄熱させて暖かベンチにしたりも出来るらしい〜!土の可能性と、熱の利用という意味では、楽しそう〜
今回はペール缶を使って簡単にロケットストーブを作ってしまおうということで、気になる私達も行ってみました〜。

主な使用材料はこれだけ。
ペール缶は、燃料屋さんに譲っていただきました
灯油缶を使っている方もいましたよ。

製作時間は、慣れたら1時間で出来る工程。
ペール缶を切ったりしながら製作。女性にも出来る作業でした。
今回私達は、キッチンストーブとストーブ兼用のロケットストーブをつくる事にしました。
キッチンストーブの方が簡単でした。兼用という事で、ほんの少し手間がかかります。

出来はまあまあ良く出来ましたよ
少し隙間があいたけど・・(苦笑)。そこはアルミホイルを詰め込んで。
さっそく翌日に試運転です

焚き口には薪がタテに入ります。これが特徴。
こうすると薪が燃えながら自然と落下していきます。
ロケットストーブの特徴でもあるように、すごい勢いで空気が吸い込まれていきます。
だからタテに差した薪に火が登ってくることもありません。

これがキッチンストーブバージョンです↑
五徳部分が煙突となっており、さきほどの勢いのある上昇気流にのって炎(熱)が鉄瓶を温めます。
ゴウゴウという炎の音!
ものの数分でお湯が沸きました〜。
キッチンストーブとして使うには優秀です!かなり。
しかも煙はほとんど出ません。大成功〜

さてさて次は、ストーブバージョン↓

違いが分かりますか?
そうです。先ほどの五徳部分には蓋がされて、後ろに煙突が抜けました。
これによってペール缶本体が煙道となって熱が発せられる仕組み。

タネをあかせば、こういう仕組みです。

内部は二重構造になっており、キッチンストーブの時は、真ん中の煙突部分からの熱を直に利用して、ストーブの時は一番外側に熱を回して、後ろの煙突から熱を排出する仕組みです。
んん、ストーブだと先ほどより少し気流が弱い気もしますが(煙突を高くすれば解消するかも)、放熱されて暖かい〜!
でも煙は少し出るみたい・・。完全燃焼まではしていないみたいです。改良の余地ありかな・・。

でもシンプルにストーブが作れちゃうというだけで感動ものですね
実は、ここに最大のロケットストーブの楽しみがあるみたいです。
実際に、いろんな人がロケットストーブを自分なりに改良してオリジナルのロケットストーブを作っているみたいです。より効率的な燃焼をめざして、それぞれが工夫する。それが楽しみなのです。
今回はシンプルで簡単なペール缶ロケットストーブだったけど、本物のロケットストーブは、先に書いたように熱を蓄熱させたりして、熱の有効利用をはかるものもあったりしてかなり奧が深いみたい。
みんな試行錯誤のようだけど、そこがはまっていくツボなのです!

本格的なロケットストーブを作ってみたくなるのもなんだか分かりますね〜。
土でつくるロケットストーブというのも楽しそう。
左官仕事で出来ちゃいますから。
薪ストーブ代でお釣りがくるかも・・。
土間にロケットストーブ、どこかでやってみたいものですね〜
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