ガリバーの家?

 『風薫る家』のほうも静かに進行中。。
今は『ゆとりの家』と同じく、墨付けの段階。

そんな水面下で静かに進行している家づくりの様子を建て主さんに見ていただきたく、
他の用事ついでに連れ去って、大工さんの工場にGOしました
っと・・そこにはすでに棟上を終えた家が・・

そしてそしてナント!

まるで異次元空間に迷い込んだように、そこでは私たちはガリバーのような巨人となってしまいました


ほほほ、もちろんそんなことなどあるハズもなく
本当は実物より小さな軸組み模型でありました。
いえ、縮尺1/3という大きな軸組み模型です

今回、初の家づくりの大役を担う水木工房の水木さん。
独立後、初の大仕事でもあり軸組み模型をも作って、入念に検討を重ねてくれています。
手間を考えるとこんなことをやっていると採算に合わないんでしょうけど、独立間もない頃の大仕事というものは確か・・私も採算度外視でした
きっとプレッシャーもそれなりに。でもひとつひとつが自分にとっての大きな学びであり、誰もが通る道でもありますね。
これだけの仕事は一人では無理なので、友人の大工さんたちも助っ人で入ってくれるそうです。
木材量もかなり多く、すべて手刻み。木組みで金物を使わないつくりは、きっと彼らに貴重な経験を与えてくれるはず
『風薫る家』が、良き学びの場であり、そして若い次なる世代の技術や能力を向上させてくれる機会となってくれればと、建て主さんともども期待をし見守っています。

ほほ、だからこうやってガリバー体験ができるのも今回だけかも?
実物を体感できるのですから、こんなすごい模型はありませんね

仕口だって本物そのまんまなんですよ!
リアルすぎる空間を疑似体験して、こんな風になるのね、っと設計者も再確認をさせていただきました。あ〜早く、建前が待ちどおしい!

いえいえまだまだこれから打ち合わせを重ねないといけない事や山ほど
何事もひとつひとつです。。

春のきらめきに。。

 日に日に春めいてきました
家のなかに閉じこもっているより、外の方がお日さんがぽかぽかして暖かい。。
そのせいか?身体がお外に出たがってムズムズしてしまいます。
畑のほうも色々とやらないといけない事が出てき始める頃。
お外に出たいという衝動も、この自然のリズムにそっている証ですね。。

そらまめの支柱や、えんどう豆の支柱を立てたり、
ほうれん草の種を撒いたり、ミョウガを移植したり、じゃがいもを植えたり、
これからの種まきにそなえて畑の準備をしたり。。

支柱立てが遅くなってしまった、えんどうも春を感じて、急ピッチに成長を始めだしています。可愛い
なんだか愛おしくなってきます。毎日毎日、成長していく姿が楽しみでなりません。

こちらえんどう豆の脇にある野良映え大根たち。
余った種をばらまいていたら、いつの間にやら大根たちがニョキニョキと。
こういった大根たちは食べきれないぐらいにあります。
立派な大根にはならなくても、葉を炒めたり、お浸しにしたり、佃煮にしたりと、ありがたいのです
もう暖かくなってきたので、小さな花芽がつきはじめていました。

はは、そんな花も食べちゃう私たち
大根もそうですが、畑にはえてくる自然の野良映えの菜の花は、私たちの春の貴重な食材のひとつでもあります。花芽をプチプチと摘んでいき、茹でてサラダにしたり、お浸しにしたり、炒めたり。
独得のほろ苦さがあって、この苦みを身体が欲するのです。
春は、冬に溜め込んだ身体の毒素を排出するため、こういった春先の苦みのある食べ物を身体が欲するのですよね。不思議ですけど、身体が自然と教えてくれるんです。
自然のリズムと私たちの身体はひとつ。つながっているんですよね。。
ちゃんと自分に耳を傾けてみて、きっと誰にでも分かるはず。

それにしても美しい花々ですね。
完璧なまでもの美しさにいつも脱帽です。。
神さまがつくった造形は、すべてが調和した理にかなった無駄のないデザイン。
見習いたいといつも思います。

春菊たちも、今はワッサリとこのあり様。
ホホホ、こちらも食べきれないぐらい
私の場合、几帳面に種を撒いて・・なんて出来る限りせず、 
昨年の種が実った時に、そのままその場所に種をほぐしてばらまいておくのです。
そうすると勝手にこんな感じ。。
はは〜あんまり余計なことをせずして、時期がきたら頂けるのですから、ありがたい。
もちろんピンポイントで手をかしてあげることはあります。
草のほうが精力が強くて、負けそうな時。
このままだと負けちゃうなという時は、手を貸します。
なんだか子育てと一緒だと思いませんか

わさび菜は今回はじめてでしたが、こちらも十分なほどに育ってくれました。
サラダとしていつも重宝します。どんな花を咲かせてくれるかが今から楽しみですね。

その他、ニンニクや玉ねぎが急速に成長中!
頑張っておくれ。。

こちらミョウガさん。まるで宇宙人の足のよう
地下でニョキニョキと縦横無尽に根をはっているミョウガ。
もうすでに春を感じて新たな可愛い芽が出始めていました。

こうやって植物たちはもうすでに人間の知らないところでみんな春の準備を始めていました。春を感じて居てもたってもいられない私の身体のムズムズと、グイグイと伸び始めている植物たちは一緒なのかも
そう考えると、嬉しくなってきます。
私たちもちゃんと自然の一部なのですね。。

『自然』って言うと、どこか自分とは別もののように考えがちだけど、
ほんとうは自然=自分。
自然を大切にすることは自分を大切にすることに繋がっているんだよね。
自然なくして私たちは生きることは出来ないんだもの
だから、自然と私はひとつ。

言い換えれば、自分を大切にしてあげられないというのは、自然を大切にすることはできないという事。自分の身体の声、心の声に耳をすまして、自分を生かしてあげること、とっても大切です。
こうやって畑のなかで春の美しさに身をおいていると、身体のなかから喜びが湧き上がってきます。
自分を大切にしていれば、自然と自然が愛おしくなってきます。

自然を大事にしたい、そして自分を大切に。
畑しごとをしながらそんな事を感じました。。

海も旬。。

 

山の次は、海?
雪が舞い降る日・・風邪をひいたかも・・なんて言いながら
潮見表をみながら居ても経ってもいられなくて・・
「さあ!海に繰り出すぞ〜」と相成りました

この季節だけの・・しかもそのタイミングはひと月に一度か二度ほどしかありません。
だから何をさておき、悩んでいる暇はありません。身支度をしてイザ海に出発

時折、小雨まじりのような雪が舞う中で、潮が引いた時を狙って採るのです。
貴重な海の恵み『わかめ』。。

どなたかがすでに採った後でしたが、それでも1時間半ほどで収穫終了。
1年分のワカメを採ることができました

さっそく帰って収穫祭かのような食卓。
帰って早々にしたのはワカメラーメン
何故って?
ワカメたっぷりのラーメンが食べたくなったのです。
麺も自家製です。

採れたてのワカメをこれほどまでに入れたラーメンは日本中探してもうちぐらいでしょう
ワカメの薫りを損なわないように茹ですぎずに・・
はあ〜、、ワカメの出汁もイイ感じに出ています。
採れたてのワカメの薫りは、市販のワカメとは雲泥の差です。
ワカメラーメンと呼べるに相応しい、ワカメの薫りが麺にからまって、最高
まるで海そのものを食べているかのよう。。
心底、ワカメラーメンって美味しいな〜と思いました
(もちろん採れたての天然ワカメでなくてはいけません)

その後、採ってきたワカメは茎と切り分けて、パックに小分けをして冷凍保存します。
乾燥するより冷凍の方が風味と食感を失わずに美味しいのです。
これでいつ来客がきても、美味しいわかめを振る舞えるでしょ

夜な夜な、1年分の小分け作業がつづきました

翌日は朝から、残ったワカメの茎をつかって常備食づくり。残さず食べ尽くします
茎の佃煮は、ご飯のおともになります。
そして芽カブは、細かく刻んで甘酢でいただきます。
お昼から、またまたワカメづくしの私たちです
ワカメの茎の天ぷらも絶品ですよ。。
食べきれない茎は、こちらも細かく刻んで冷凍保存。和え物や炊き込みご飯、パスタなどに、なんでも活用できます。

 

これも自らが採ってくるからこその豊かさでもありますね。
そして多くの恵みを与えてくれる綺麗な海があってこそ。
いつも我が家の食卓は、そんな自然のめぐみたちで潤ってます。
自然に生かされている私たちですね。
ありがたいことです。

まだ肌寒い日がつづいていますが、なんだか我が家の食卓に春を感じました。。


山は旬。。

 春日和と思えば・・雪です・・
身体も、暖かさに慣れつつあったので朝からクシャミの連発!
風邪をひいたのかな?

さて、この季節恒例となっている、木材購入のために大工さんとともに山へ行ってきました
寒伐り材を購入するために、昔ながらの家づくりはこの時期までに設計・見積もりを終え、木材を購入する段取りにはいります。秋から春にかけてが最も私たちが一番忙しい理由。。
もうすでに木材は発注済みで、製材屋さんの土場には原木がそろってきていました。

昔ながらの家づくりでは、構造材の仕様は『80年生以上の高樹齢目込材』を基本としています。しかも柱・桁・梁は5寸ものということで樹齢はおのずと100年以上の材となります。材もそう簡単には集まりません。製材屋さんはあちこちの原木市場を何度となく転々としながら材を購入していくことになります。当然、良い材を購入するためには時間的な余裕がなければ材は集まりません。
昔ながらの家づくりでは木材の準備期間も必要不可欠な大切な時間なのです。。

樹齢のいった材は、嫌らしさがなくて雰囲気がとてもいいです
先日の完成見学会でも「木木した家は嫌い」という方がいらして、木の家を見て頂いたのですが、そしたら構造現しの空間で壁も天井も床も木であったにも関わらず、目を輝かせながら「雰囲気がいいですね」と(笑)。。
そのほか「木ばかりだけど嫌な感じがないですね」という感想もいただきました。
どうやらそういった方々は、樹齢の若い材を見て、木に対しての悪いイメージがあったのかもしれません。樹齢の若い材は、見た感じも『チャラチャラした若造』のような感じ。ある程度の樹齢がいった材は、長い年月苦難を乗り越えてきたかのような風格があります。節があってもぜんぜん嫌らしくなく、むしろそういった節ひとつひとつにも木の生き様を感じさせるかのような雰囲気があるんですよね。

今時の家づくりでは、急ぎ仕事。しかも安く安くがモットーなので、木材を選んで家を建てるという事が無くなってきています。だから「木は嫌な感じ」という悪いイメージが・・。
銘木まではこだわらなくとも、家の寿命や、家の丈夫さのためにも、ある程度樹齢のいった目込んだ材を使うことで、家の雰囲気全体が良くなります。。
もちろんその時は、木をボードで隠したりせず、木の良さを活かして木の家づくりをしていただきたいところです。

さて、そろってきた原木のなかには『天杉』という表示も。
『天然木』植林していない材ということです。『目込み材』は目込み材でも『植林された木』と『天然木』とでは目込み具合が異なってきて、天然の方はさらに目も込んでいて市場でも高く取引されます。
年輪の中心のほうまで、ピッチリと目込んだ材が『天然もの』。目の込み具合もメリハリがあってぜんぜん違います。過酷な環境下でジワジワと種から木になっていく天然ものと、苗木(挿し木)として育てられ植林された木の違いが年輪に出るのです。
これだけ目込んでくると、柱にしても板にしても、とっても雰囲気があって綺麗な材となります。木の表面の苔むした感じが樹齢を感じさせます。

100年200年ともたせていく昔ながらの家づくり、チャラチャラした材ではやっぱり相応しくありません。木から放つ雰囲気ひとつで愛着も変わってきますし、家の寿命にも左右します。
100年生きてきた材を使って、100年200年と大事にされていくていくような住まいづくりをしたい。
私の3倍ほど生きてきた材を目の前に、そう感じるのでした。。

『ゆとりの家』そして『風薫る家』

 さて、そろそろ新たな家づくりが動き始めます。。
『ゆとりの家』と『風薫る家』です。
この二軒、偶然にも目と鼻の先ほどの近距離にあります。設計者としてはとっても助かる話
現場から現場へハシゴができそう。移動のための時間がかからないので、その分じっくりと職人さんたちとの打合せを密にできます
現場から現場に渡り歩くための自転車を準備しておこうかな〜。

そして一足先に『ゆとりの家』の地鎮祭をおこないました。
どしゃ降り予定の雨も、地鎮祭開始前にはピタリと止んで、式も滞りなくおこなわれました。

いつも地鎮祭には気持があらたまります。。
あたりまえではありますが、何ごともまずは『礼』から始まるということです。
とくに神事では、目に見えない世界をも尊び大切にします。日本人としての心がここにはあります。
大地を騒がせてしまうお詫びと、この地に根ざすことのお許しをいただきます。

 

さて神ゴトが終われば、現実の人間界の事も・・。
ご近所さんへの挨拶まわりです
建て主さん自らが菓子折をもって廻ります。工務店・設計者も同行し、工事の事前説明にあがります。こういった事ひとつが家づくりではとても大切です。
工事では何かとご迷惑をかけることもありますので、こういった礼ひとつが後々に影響するのですよね。。

さて、私も気持をきりかえて、これから動き出す家づくりたちのための準備をそろそろしなくては

『つながる家+つなげる家』完成見学会&家づくり塾

 先週の土日は建て主さんのご厚意のもと『つながる家+つなげる家』の完成見学会&家づくり塾を二日間にわたっておこなう事ができました。両日にわたって本当にたくさんの方々に来ていただき、ありがとうございます。
家づくり塾も早々に定員オーバーで、残念ながら参加できなかった方々本当にごめんなさい。またの機会にぜひご参加くださいね。

完成したお宅をこうやって見て触れて感じていただくこと、それが何よりの説得力をもって、木と土の昔ながらの家づくりの良さをお伝えすることができます。見学会では建て主さんもご理解のもと、手袋なしで触れていただいたり、お茶や珈琲などをゆっくり飲んでいただきながら、木と土の住まいの心地よさを体感していただきます。皆さん、とても穏やかにそれぞれが心地いい場所でくつろいでいらっしゃいました。

さて家づくり塾のほうは、1日目は昔ながらの家づくり・イロハ編ということで、『〜木のコト、土のコト、草のコト 住まいの大切なコト〜』ということで、私のお話しでした。
木や土や草など、その地にねざす自然の素材を生かすことで、人も環境も生かされること。農や食が住まいと密接に繋がっており、食が大事であること。地の素材をいかし、人をいかすことで、喜びが和(輪)になって循環していくよ、というお話しをさせていただきました。

 

どう伝えたら、伝わりやすいか響きやすいか試行錯誤です。いつも趣向をかえながらのお話しですが、家づくり塾1回目から参加していただいている方に「お話が上手になったね」と言っていただいて、胸をなで下ろしました。なんだか参加者さんにいつも見守られているような感じがする私ですね
でも2時間ずっとしゃべりっぱなしの後は、いつも喉が痛くなります

二日目の家づくり塾は、昔ながらの家づくり・大工編ということで、大工さんから見た現代の家ってどうなの? 先人達から受け継がれてきた大工さんの智恵や技を、小林建工の若棟梁・小林優斗さんとお弟子さんの長野くんに語っていただきました。
今回初の試みです!
これからの木の家をささえていくことになる若い世代に語っていただきたかった

 

緊張ぎみだった優斗さんや長野くんでしたが、始まってみるとなんのその!お笑いもあって、とても分かりやすく、”タメ”になるお話しとなりました。
実際のプレカット材を用意し、プレカットの何が問題であるかを知っていただいたりして、専門知識のない者にも「こりゃマズイでしょ」っと分かりやすい体感で感じる内容。また大工さんによって手刻みされた金輪の継ぎ手の実物を、実際に目の前で込み栓を打ち込んで連結してもらいました。こちらも百聞は一見にしかず、一目瞭然でその強さを感じることができました。
こうやって目でみることで、プレカット材が金物に頼らなければもたない事、金物に頼るという事の弱々しさをヒシヒシと実感した次第です。

優斗さんいわく「今はデザインやシステムキッチンにばかりに目がいって、家の肝心なところに無関心では」と、大工としての叫びをあげました。長野くんは「こんなに素晴らしい技術がなくなるという事は、寂しいことだと感じませんか」と参加者たちに疑問をなげかけました。私もかげながらサポート。。

 

やっぱり大工さんの声には力があります。設計者が百回語るよりも「そんな家はイカンで」という大工の一言につきます。今の時代は、声を大にしてあげていかなければ本当のことが、メーカーの宣伝の前で打ち消されていきます。良い物がなくなっていくのはあまりにも寂しいですからね。
参加者さんたちからも、また次回も参加したい、建て前が見たいとの声があがりました。
またやろうね〜!(優斗さん、長野くん

そしてこの二日間、参加者の皆さんには土壁の暖かさを感じていただきました。
それは私たち自身も驚くべき体感でした。
建て主さんからも聞いてはおりましたが、5寸柱につく土壁の蓄熱効果はスゴイ〜!
薪ストーブを朝から5時間焚いておりましたが、熱くて午後の家づくり塾では室温24度!ストーブも稼動停止。その後、蓄熱された熱は逃げにくく、帰る7時頃も室内の温度は20度以上。
その翌日の朝9時、外気温7度のなか、室温は13度でまだほんのりと暖かい感じでした。薪の消費は、写真で写っている量、全部も使わないぐらいなのに〜!
う〜ん、我が家の薄々の土壁とは大違い!断熱材なしでも、しっかりと土壁をつければ、この効果
窓のほとんどは隙間があるとされる木製の建具なのに!適度な部屋の広さと、床下に土の断熱を施したのと、木製建具の室内側に障子を組み込んだのが、かなり効果が効いているようです。
参加者みなさんにも、しっかりと体感して頂いた次第です。。

完成見学会&家づくり塾が終わって、いよいよ『つながる家+つなげる家』の家づくりも終了です。
いつもながらなんだか嫁を出す親の気分
でも・・私たちの手を離れ、家族とともに大事にされ成長していってくれることでしょう。
家族を包み込みながら、家族の想い出をたくさん吸い込んで艶を放つようなお住まいとなることを、
設計者として心待ちにして、今度お伺いすることを楽しみにしております。。

どうも関わってくださった皆さん、ありがとうございました。。

追伸・早くも建て主さんからは「住まいだしてからの家づくり塾もやってくださいね」とお声が
楽しみに!

1