冬のリフォーム作業。。



我が家の奈良の木の家のリフォーム、ぼちぼち進んでいます。
凍り付くバケツの水が凍らなくなるまで、荒壁塗りは今しばらくの辛抱ですが、
それまでにできるところを進めておきたい手



台所は小屋梁がみえる高い高い天井です。
見るからに寒そうでしょ・・・・・アンパンマン
そう普通なら天井張って断熱材でも詰めるところなんですがね・・
チャレンジャーの私たちは、このまんまを活用することに
夏は快適そうですが、きっと冬は寒いぞおお〜泣



ひとまずこの小屋梁のお化粧直しです。
前回も書きましたが、この柿渋を塗ってお化粧直しするだけで、俄然雰囲気が良くなるのですから。
だから高いところだって、なんのその〜!

ぶるぶる。。
上から下を見下ろすと、かなり高いです〜ぶるぶる
しかも手を伸ばして梁や母屋を刷毛で塗る作業は、転落の恐れあり!
慎重を要します。。
セルフリフォームに少々の怪我はつきものですが、大怪我にはならないようにしなきゃねガンバ



はあ、作業の合間の薪ストーブの火が身体を癒し温めてくれます火
良かった。先にストーブを設置して正解〜。
自然にお湯も沸いていて、ちょっと一休みの時にはイイ感じにコーヒーブレイクコーヒー
庭にはうず高く積まれた薪達。

 

っと言うのも、実は総代さんがご自身の山の木を私たちのために玉切りして下さったお陰なのですハート
昨年はリフォームに忙しく薪集めどころでなかった私たち。そんな私たちのストーブのサイズに合わせ、親切にも35cmに切ってくれて、あとは使うだけの状態で頂いたのです。しかも私たちだけでなく移住が決まった3組にも同じく!
そんなお陰があってこの冬はなんの不自由もなく温々リフォーム三昧というわけなみだ
本当にありがたい話ですアンパンマン



そしてこの家から出てきた、60年前に建築した当時の木材の木っ端、型枠の桟木一本までもが大事にとってあって、今シーズンと言わずしばらくはまったく薪に困らないほどなのです。
薪に困らないって、なんだか懐が満たされるような気分ハート
さあ、張り切って冬のリフォームに励みます手 

新年から熱く熱く。。

すっかり新年のご挨拶がおくれてしまい、気恥ずかしい気分ですアンパンマン
今年からまた徳さんと二人のAASTUDIOにもどりました。
まみこさんも、素敵なパートナーをしっかりとAASTUDIOでみつけて、ふたりで歩んでいくために旅立っていきました虹
残念ながら私たちの昔ながらの家づくりを繋ぐ種にはなりませんでしたが・・、きっとふたりで共に喜びをみつけ、どこかで違うかたちとなってここで身につけたスピリッツを引き継いで芽吹いてくれるだろと信じています。がんば手



さて新年早々、子供を旅立たせ身軽になった私たちは山口まで畳の手床製作を見学しにいくことに。実は毎年毎年、いつも畳でお世話になっている荒川製畳所さんでは、手床の技術を後世にのこしていくために、志ある者たちを集めて手床製作の講習会をおこなっているのでした。今年はお声をかけていただいて、念願の手床づくりを拝見することに。。
手床を製作できるのは今や日本ではもうお二人しかいません。やっぱり日本の畳の原点でもある手床(手縫床)のつくり方は一度は見ておきたいものです手

さすが講習会には西日本各地から畳屋さんばかりmoe
しかもこんなマニアックな講習会に参加するなんて、かなり積極的な畳職人さんであること間違いありません。
特に九州は畳組合の青年部たちが声をかけあって参加していて、やる気ありそう〜moe
なんと羨ましいこと。我が愛媛もそんな畳職人おらんのか〜??







手床講習のほうは、ひとつひとつ荒川さんが解説しつつ進めてくれるので、専門職でない私たちにも畳床のつくりがよ〜く理解できました。藁の並べ方や縫い方、細かなところで小さな心遣いのかたまり。そんなひとつひとつの積み重ねで良い畳床が出来上がっていきます。
今や手床の畳をつくるケースはほぼありません。ほんのたまに手床でしか製作できないサイズの畳で手床をつかう事が稀にあるだけで、畳床は機械化されたものとなります。
床(とこ)とは、藁でつくられる畳の芯となる部分を言いますが、今や藁でない建材物をつかった床が大半を占めるようにもなってきています・・・ 下
悲しいかな・・日本を代表する誰もが知る畳が、今や畳と呼べないものばかりになりつつある現状に、畳屋さんたちも心砕いています。



 

藁や菰を重ねてそれを縫い込んでいきますが、厚み25cmほどある藁に1尺ほどの針を刺して縫っていく作業は思いの外難しい・・思った位置に針が刺さってこないのです。うまく定位置に針が刺さるようになるにはかなり熟練した技術が必要のよう。
畳床の縫い方は、簡単な縫い方から手間のかかる縫い方まであります。今回は”14通り掛け縫い床”と”14通り筋縫い床”とを同時に製作してくれたので、私としてはずっと理解できなかった縫い方の名称がやっと理解ができました。
手間の掛かる”掛け縫い床”ですが、いいものはそのなかでもさらに熟練の技術がいる密度の高い縫い方がされていたようです。それはまさに神業ですねキラキラ


手床の工程を見ていると、そこで使われる菰(こも)や、麻でできた麻糸、これらも伝統技術のひとつでもあります。素材である藁や道具も、そのすべてが貴重になりつつあり、いつまで日本的な物を遺せるのか今はそんな大きな命題にむきあっている時代とも言えるのではないでしょうか。
特に今の時代はお金だけで物事を判断し、お金にならない事は切り捨てられていっています。お国の方向は常に経済優先ですから、経済効果のないものは、結果消えゆきつつあると言ってよいでしょう。
荒川さんご夫婦の活動には心打ちます。「手床をつくりたい」と言う若い子も参加しており、無口ではあるけど真剣に取り組んでいる姿に、荒川さんたちの地道な活動の成果をみる気持がしました。この中からひとりでも、次の世代へと繋いでくれる職人が生まれることを祈っています。
そう荒川さん、つい先日”現代の名工”にも選ばれたようですよキラキラ



さてすっかり手床講習に見入ってしまいあっと言う間に一日が・・。
参加は1日の予定でしたが、完成するまで見届けたく翌日も参加することに。
畳だけに限りませんが、本物の仕事って本当に見飽きないし、面白いのです。
そこにはちゃんと意味があって物が形づくられています。細部の納まり、つくり、所作、意匠、素材。
その意味のあるつくりを知れば知るほど、他の職人たちとの共通事項も多く、また衣食住が一定の知恵のもとで物づくりがされていることを見ることができます。
また発見。パズルのピースを発見するかのような面白さ。
基本、手床や畳は衣服と同じ縫い物なのです。大きな針に大きなマッチ針、針アテもあって、縫い方も同じ。よくお婆ちゃんが縫い物の時にやっていた、針に髪の油をつける・・あれも同じ。畳と衣服の形はまったく異なる物だけど、どこか日本の伝統技術というのはひと続きなのかもしれません。



翌日は『締め』と言われる工程で、縫い上げた床の糸を締めていき、畳床の厚さに仕上げていきます。
これがかなりハードな作業なのです。しかも糸が手に食い込んで、痛い!痛い!涙!
でも職人さんたちは痛いの表情も見せず、ただひたすら締め上げていく筋肉
でもさすがの職人たちもハード・・替わりばんこで休憩をしながら。でも最後のほうはみな動きが止まっていました汗 





やっぱり昔は畳は高価なものだったって、この製作現場をみて実感しました。何ごとも見ないと製作のたいへんさって分からないです。
以前、荒川さんに手床畳を注文しようとして軽く断られたのだけど、その意味がよく分かりました笑
今回1枚の畳床をつくりましたが総勢6〜8人でまる二日かかってしまいました。一人ならいったい何日かかるのだろう・・・アンパンマン
その昔、畳をいれるのに大工さんより高い手間賃をもらっていたと聞いたことがあり、その時は「ありえない・・」と思いましたが、う〜ん、この作業を見ると頷ける話です。

 

さて出来上がり。さて手床の体感は・・おおおおおお、味わったことのない感触!!!
この本来の手床畳の感触は、私たちがまさに忘れてしまった畳の感触だと言えます。
柔らかく優しい感触。足の裏が心地良いです。
こんな畳に寝転がってみたいもんだなあ〜ハート

硬い床が多い中で、けっこうこのソフトな感触は現代にヒットするかもしれません。
部屋に全部敷くのは現実味がなくても、畳ベッドや畳ソファにはいけるかもしれません。やっぱりぜひ使ってみたい一品だ〜アンパンマン



この二日間、畳職人さんたちに囲まれ、つねに話題は畳moe、畳moe、畳moe

畳屋さん同士の熱い会話に混ぜていただいて、私たち設計者はどっぷり畳を謳歌したという感じでした。やっぱり畳はいいわあ〜ハート
荒川さんどうもありがとうございました。
今後も畳の良さを発信していきたいと思っておりますハート

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