住まいは暮らしの道具。。

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お引越し後、少しずつ落ち着いてきた『往き、還る家』にお伺いしてきました。

家具や調度品などお家のイメージに合わせて自分たちで吟味しつつ少しずつ揃ってきているようでした。

設計段階から建主Iさんの好みはよく理解をしているので、「なるほどね」っとそのひとつひとつパズルのパーツがぴたっとくるような家具のチョイスに感心しました。

 

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設計者としてのわたし自身は、家は設計者としての”作品”ではなく、住まい手の価値観や暮らしに寄り添うものだと思っています。その中心にあるのはやっぱり住まい手であって、暮らしはじめて、無理なく住まい手にフィットしていくものであって欲しいと思っています。

今回はラフにカジュアルな暮らしで昔ながらの家づくりを素敵に暮らす。

一言で住まい手さんの要望を言葉にしたらそんな感じかな。。

 

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それぞれの家ごとに求められる空気感、求められるというよりその人たちが放っている匂いのようなものがあって、それが住まいとなっていく。だから毎回おなじ家というものはなくて、その家ごとの個性として表れ、暮らしが展開されていく。

 

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うまくフィットしていってくれているか、っとお宅訪問は毎度のお楽しみなのですハート

暮らしや生活感がはいってくることでさらに暮らしの道具としての住まいの良さが引き出されていく家なので、デザイン住宅のような生活感を消すというより、生活感が漂って活きてくるといったものを感じます。

 

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どこまでいっても私自身が暮らしや生活感が好きな設計者なので。

私の手をはなれ、住まい手の手にフィットした道具となっていっている様子が、家を一緒に建てていくのと同じぐらい、設計者としての楽しみでもあります。

 

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住まいは良き暮らしの道具でなければ。

そしてもっと言えば、よく手に馴染むような心踊らせるような美しい道具でありたいと思います。

 

職人さんたちも、美しい良い道具をもつと、仕事に馬力が出てさらに上の仕事をめざしたくなるように、住まいも一緒。。

明日の英気を養い、心豊かにさせていく住まいでありたい。

永く愛された職人さんの道具たちが美し黒い艶をはなつように、そんな住まいをつくっていきたいものですね。

 

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お昼にピザをご馳走していただきましたハート

使い勝手よく使用してくださっているようで、ほっ手

美味しく頂きました。

 

さて家づくりは終わったけれども、これからまだまだ庭づくりがあります。

庭木の選定や、自分たちでデッキづくりに挑戦(大工さんの指導のもと)、時間があれば植木市にも連れていってあげたいなあっと、

どこまでもスローに家づくりを楽しみましょう〜手

 

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地場の素材を活かし気候風土住宅でいきましょう~。

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台風最中に木の家ネットの総会が倉敷で開催され、

これから昔ながらの家づくりが目指す先は『気候風土適応住宅!』ということで心をひとつにして帰ってきた翌日の今日。

台風も通り過ぎひさしぶりの晴れ空の下、地元の大島に打合せに出来かけました車

 

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っと言うのも、地元は有名な大島石の産地。

今まではちょっと高級な墓石というイメージが強すぎて手を出せなかった石。

それを次の家づくりの『誕生と成長の家』の建主さんが、大島石の普及活動をしているNPOに縁を繋いでくれたおかげで、『土間と風の家』に大島石を使用することになったのですハート

 

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台風の雨ですっかり水に浸かってしまった砕石場。

ポンプフル稼働で水を掻き出していました。

 

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今回は基礎石や庭石にこの大島石を使用していきたいと思っています。

地元の自然素材や産物を活用してきたのが昔ながらの家づくりであります。

私としても昔ながらの伝統構法での家づくりに、地元大島石を取り戻していきたいというのは長年の課題の一つでもありました。

 

建築業界で使われる石材のその殆どは、中国産です。

安価で安い人件費のもと加工までしてくれるので、高い石工事であっても比較的利用がしやすい価格帯に中国産は収まるのです。(っと言っても、それでも高いと言って石工事が無くなっている建築業界ではありますが)

ただその影響で国産材は壊滅的影響を受け廃業を余儀なくされて、どんどんと国産の採石場から石屋さんがいなくなっているのは確かなことなみだ

問題はわかっていても金額が合わないと他の工事にシワ寄せが出て、採用が難しいのが建築業界です・・アンパンマン

 

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そんななか大島石普及のために活動をしているNPOと良いタイミングで縁があって、試み的に一緒にやってみようと言うことに。

互いにどの程度の価格なら、というのも手探り段階です。

大島石も生き残っていかなければいけないし、建築としても継続利用していけれるアイデアを探さなくてはなりません。

こういった模索が、地場の産業のもとにあった昔ながらの家づくりを取り戻していく事に一つ一つ繋がっていくんだと感じてのこと。

 

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冒頭での『気候風土適応住宅』

実はこういった地場の伝統的な産業や職人を活用したりして、その地の気候風土に適応し培われてきたものを大切にしていこうじゃないかという方向を国が先ほど示したのですキラキラ

 

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省エネ法改正によって北欧やドイツのような断熱化された住宅でないと家が建たない!という危機感のなか多くの実務者たちが立上り、日本の伝統的なその地の気候風土に寄り添い培われてきた家づくりの意義を発信し続けてきました。

『省エネ』って家を断熱化するといった視野の狭い話ではなく、100年200年その地の気候風土のもとで持ち堪えていったり、長距離な輸送を必要とするような輸入材を使わず国産材や地場の素材を活用することだったり、自然に還る素材の利用だったり、地場の産業や技術や職人また建築形態をも守っていく様なことであったり、美しい景観をつくっていくような家だったりと、そういった要素も意義深く気候風土に適応した住宅として『気候風土適応住宅』という枠組みをつくって大切にしていきましょうという話になったのですキラキラ

 

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やっとのこと私たちは日本人として、自分たち日本人が生み出してきたものを認めはじめようという第一歩に立ったような気分です手

私自身の家づくりでも木組みや土壁や指物や畳や襖などなど色々と取り組み実践してきましたが、まだまだ取り組まなければいけない課題は山ほどありますが、気候風土で培われてきたものを大切にしていきたいし、どこまでいっても日本の美しい物づくりや手仕事が大好き~ハート

タイミングをよくして、大島の石の活用に今回は取り組めそう手

だからこの仕事、建築って面白くって、やり甲斐があって楽しいですアンパンマン

頑張らなきゃです。応援ください〜手

 

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↑こういった石材は棄てられてく石材のひとつ。こういった物も活用のしがいがありそうです。

 

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↑端材はタイル的な利用にしても面白い。想像がふくらみます。

一息のお楽しみ。。



『土間と風の家』の刻み確認に行ったところ、

ちょうど休憩中にて大工さんたちお楽しみの最中でした。





内輪で手斧ハツリ大会♫

休み時間を利用してのハツリ特訓中でした。

っと言ってもみんな楽しそう。

こうやって競い合って技を習得していくのですね。



私も挑戦!

足が短すぎて手斧が余り過ぎてうまい感じに振り下ろせません!

足に下駄を履かせたい!!

上手に仕上げていくって大変だけど夢中になりますねっ!



さあ、休憩も終わって皆仕事モードに。

順調に進んでいます〜。

建て前が少しずつ見えてきました。

もうひと頑張りです!




とこしずめのまつり。。

 

先ほど『土間と風の家』の地鎮祭が執り行われました。

家を建てる際にはかかせない地鎮祭。

わたしたち建築に携わる者にとってはいつも恒例の儀式ではありますが、きっと施主さまにとっては一生に一度のこと。

毎度のことだけど、いつも心が静寂に満ちてすっきりする感覚を覚えます。

神事ごとなんて日常的ではなくなってしまった現代だけど

こういった神事ごとをちゃんと見直したいなと、この頃とても思うようになりました。

 

日本人はありとあらゆる万物を神として崇め奉ってきた民族でもあります。

目に見えるものだけでなく、あらゆる目に見えないものたちへの畏敬の念や感謝の気持ちが、手を合わせることに繋がってきたのだと言えます。そういう日本人が素敵だなと思います。

 

なんだか色々なことが粗末にされている時代だからこそ、目に見えないものに手を合わせるって必要な気がしています。

ありとあらゆるものに生かされているという実感が少ない時代だからこそ。

家づくりを通じてそんなことも取り戻していきたいです。。

 

 

 

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